「利用したくなる施設」に 大船渡市民文化会館 指定管理者運営スタート 案内窓口の〝改革〟に着手
令和6年4月7日付 7面

大船渡市民文化会館は今月から、指定管理者制度による運営となった。指定管理者は、施設管理や舞台管理で実績がある2社による団体「大船渡ぶんかクリエイティブ」。スタッフは地元雇用や同館での業務経験者を含めた12人体制で、これまで以上に「利用したくなる施設」を目指す。早速、総合案内窓口の〝改革〟に着手し、利便性を高めた。(佐藤 壮)
大船渡ぶんかクリエイティブの代表は、アクティオ㈱(淡野文孝代表取締役社長、東京都目黒区)。同館の舞台管理業務を担ってきた㈱アクト・ディヴァイス(水野美砂代表取締役、盛岡市)も構成員となった。
アクティオは、全国の文化会館施設130施設以上の指定管理者として管理運営を担う。アクト・ディヴァイスは大船渡市民文化会館をはじめ、県内外の舞台管理業務を受託している。
1日から新たな体制となり、指定管理者候補選定委員会での提案通り〝窓口改革〟に着手。正面入り口には大型のデジタルサイネージ(電子看板)を設置して催事情報などを発信するほか、電子ポスターとしての有料広告活用も見据える。
これまで総合案内には押しボタンがあり、職員がいない時間が多かったが、今月からはスタッフが常駐。来館した地域住民らに、スタッフが気軽に声がけできる環境を整えた。
さらに、開館から閉館30分前の午後9時30分まで、利用料金の支払い、利用申し込み、チケット販売に対応。3月以前よりも夕方以降の時間帯が延長された。
インターネットによるチケット販売サービスの導入や、キャッシュレス決済なども準備。これまでは電話、ファクス、メール、直接申し込みで受け付けていた利用予約は、さらにインターネットシステムでも対応できるよう整備を進める。
閉鎖が続くレストランは当面、イベントスペースとしての利用を見据える。子どもの居場所づくりや学習環境としてのスペース提供、夏場には〝避暑地〟としての活用も計画。地元事業所と連携しての取り組みにも意欲を見せる。
アクティオが全国各地の会館運営に携わる強みを生かし、地元雇用スタッフらのマナー研修を強化。複数施設と連携して同じ出演者を招き、出演料や広告宣伝費の節減につなげる取り組みも進める。
市の指定管理料は、3年間で計4億880万円。管理運営に要する経費は、この管理料と利用料金で対応する。利用者が支払う利用料金は指定管理者に入り、利用料金額は、条例範囲内で指定管理者が市の承認を得て定めることができるが、4月からの変更はない。
館長に就任した田邊晶子さん(48)はこれまで、宮城県の利府町文化交流センターで公民館・文化会館の館長を務めてきた。「公共施設は誰もが利用できる施設ではあるが『利用したくなる施設』にしていきたい。ソフト面で充実できれば。全国を見ても引けを取らない大ホールに、できるだけ多く地域の方々が足を運ぶよう頑張りたい」と話す。