伝統の婚礼で幸せ祈る 千葉さん夫妻 気仙大工左官伝承館で挙式(別写真あり)

▲ 親戚や親しい地域住民らに祝福され笑顔の翔太さん(前列左から3人目)と玲奈さん(同4人目、電子新聞に別写真あり)

 陸前高田市小友町の気仙大工左官伝承館で6日、一関市花泉町の料理家・千葉翔太さん(29)と陸前高田市高田町の団体職員・玲奈さん(30)夫妻の結婚式が行われた。明治初期の気仙の民家を想定して建てられた同館で昔ながらの婚礼の儀式「祝言の儀」が再現され、出席した親族や駆けつけた地域住民らが2人の末永い幸せを祈った。
 同館での挙式は、東京都出身で、平成31年から同市で暮らす玲奈さんたっての希望だったという。移住する前の学生時代から東日本大震災後の同市のまちづくりに関わり、陸前高田への愛着が強まる中、同館で結婚式を挙げられることを知って「自分もいつかここで」と憧れを抱いていた。
 昨年3月に籍を入れ、以前から玲奈さんの思いを知っていた翔太さんは、同館での挙式を快諾。同館スタッフや、玲奈さんと親交の深い地域住民らの協力もあって、今回の式が実現した。
 この日は、同館主屋が翔太さんの実家という設定で進行。新郎新婦と親族らが式場へと向かって歩く「花嫁行列」では、紋付きはかまを身につけた翔太さんと白むく姿の玲奈さんがゆっくりと歩を進め、招待客らから祝福を受けた。
 主屋の奥座敷では「祝言の儀」が執り行われ、地元の漁業・村上優一さん(73)が進行役の「中座持ち」を務めた。三三九度や、夫妻がお膳の料理を分け合って食べる「蝶の膳」などが行われ、心を通じ合わせる翔太さんと玲奈さんの仲むつまじい様子に、親族らが表情を和らげた。
 その後は、高田町の伝統行事「うごく七夕」の祭組の一つで、玲奈さんも所属する荒町七夕祭組のメンバー10人余りが太鼓や笛を演奏。2人の明るい未来を祈る活気に満ちたはやしの音が鳴り響いた。
 翔太さんと玲奈さんはしばらくの間、花泉町と高田町でそれぞれで暮らすことになるが、「今後、2人で落ち着ける場所を考えていきたい」という。
 翔太さんは「自分はまだ陸前高田について知らないことが多いが、これから知っていきたい。妻との時間を楽しみたい」と笑顔。
 玲奈さんも「伝承館で結婚式をするのが夢で、念願がかなった。やりたいようにやっていいと言ってくれた夫や、祝福していただいたみなさんに感謝しています」と喜びに満ちていた。
 同館によると、平成4年に開館した同館での挙式は今回で14組目。