滝の里仮設跡地に物流拠点  ボンマックス(東京)が整備 5月に竣工式 8月上旬の本格操業目指す

▲ 竹駒町に完成した滝の里物流センター。8月の本格操業を予定している

 陸前高田市に子会社を持つ総合ユニホームアパレルメーカーの㈱ボンマックス(外川雄一代表取締役、本社・東京都)が、竹駒町滝の里に整備した滝の里物流センターが完成した。建設地は東日本大震災の被災者が生活した応急仮設住宅の跡地だ。きょう11日で震災発生から13年1カ月。県内で最後まで被災者が住んだ仮設団地は、同社が全国にアパレル商品を届ける一大物流拠点に生まれ変わった。5月17日(金)に竣工式を予定し、8月上旬の本格操業を目指している。(高橋 信)

 

震災13年1カ月

商材が並ぶ予定のセンター内で、稼働後の業務などについて話すボンマックス担当者ら


 滝の里工業団地の空き地に、存在感を放つ新たな倉庫ができた。敷地9632平方㍍、建物は鉄骨造2階建てで、延べ床面積は約1万1000平方㍍。昨年5月に着工し、今年3月下旬に完成した。
 総工費は約18億円。経済産業省の「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」(津波立地補助金)を活用し、市からは3億円の補助を受ける。
 同社によると、スーツやシャツなど約300万点の保管が可能。同社の主要な物流拠点は同市や愛知県、宮城県などにあるが、滝の里物流センターにほぼ集約させる方針で、現在、他施設から商品を運び入れる作業が進められている。陸前高田市内にある既存の2施設は、同センターを補完する倉庫として活用し、同市が同社物流部門の一大基地となる。
 センター1階は入出荷用のエリアとなり、出荷は年間約400万点、入荷は同約250万点を見込んでいる。一角には仕上げ用のアイロンプレス機約10台を置く。
 1階事務所は一部ガラス張りにして、入出荷作業を確認できるようにする。近く在庫を管理する管理システムを導入し、操業時まで試験運用する。
 2階は保管庫として使う計画。屋上に置いた太陽光パネルで施設内の使用電力を賄い、停電時用に自家発電機も配備する。従業員数は、新規雇用10人以上を含む40人程度を想定している。
 同社は明治39年に創業。昭和42年、グループ企業の㈱ボンマックスアパレル(小林厚仁代表取締役、旧東北縫製㈱)が、陸前高田市の誘致企業第1号として市内に開業し、同社には155人(1月末時点)が勤務している。
 滝の里にあった仮設住宅(86戸)は、県内で最後となる令和3年3月にすべての入居者の退去が完了。仮設住宅撤去後の跡地の利活用が課題となっていた中、同社が全商材の物流効率化などを見据え、新拠点の整備を決めた。
 5月17日は現地で竣工式を行ったあと、高田町の奇跡の一本松ホールを会場に完成記念のコンサートを開く。日本を代表するドラマーの神保彰さんが出演し、誰でも無料で鑑賞できる。午後5時開場、同5時30分開演。事前申し込み不要。
 ボンマックスロジスティクス課の阿部賢課長は「物流センターが形となり、操業に向けてしっかりと準備していきたい。運用後は社会科見学など地元の子どもたちに見てもらう機会を設ける。気仙の人たちに働きたいと思えるような場を創出し、地域に貢献していく」と見据える。