「2時46分」の音 自動化再び 鎮魂愛の鐘 ソーラーパネルで電源確保(別写真あり)
令和6年4月13日付 7面

大船渡市大船渡町のみなと公園にある東日本大震災の犠牲者を悼むモニュメント「鎮魂愛の鐘」は、毎日午後2時46分に鐘が鳴る自動化が再開し、1カ月が経過した。11日には、設置した大船渡西ロータリークラブ(紀室綾子会長)が動作を確認。震災を忘れず、癒やしの音色として今後も響き渡るよう願いを込めた。
確認作業には、クラブメンバーら10人余りが立ち会った。同2時46分、上部にある鐘が動き、約20秒間にわたり音色が響き渡った。「もう少し鳴る時間を長くした方がいいかもしれない」といった声があり、今後調整する予定。
鎮魂愛の鐘は、大船渡西ロータリークラブ内の復興支援委員会が中心となり、津波犠牲者の冥福を祈るとともに、市民が記憶をとどめ語り継いでいくためのシンボルにしようと設置に奔走。ロータリークラブを中心に、国内外から支援を受けた。
平成25年3月、大船渡湾に臨むサン・アンドレス公園の展望台東側(県有地)に完成。高さ約9㍍で、ステンレス製の柱の上部にある鐘は、青銅製で高さ60㌢、重さ110㌔ほど。広島平和記念公園の「平和の鐘」も手掛けた富山県高岡市の銅器メーカー、老子製作所によるもので、毎日午後2時46分に自動で鳴らす仕組みになっていた。
令和4年にみなと公園に移設されて以降、手動の回転鐘は誰でも鳴らすことができたが、電源を確保できず、上部の鐘は作動しなかった。同クラブは〝復活〟を目指していた中、民間企業の協力を受け、ソーラーパネルとバッテリーを設け、再び自動化が実現した。
みなと公園には今年、市の追悼施設として「祈りのモニュメント」が整備された。発災から13年を迎え、除幕式が行われた3月11日から、上部の鐘は自動的に毎日鳴り続ける。
紀室会長は「気持ちが癒やされる音色が響く。震災を忘れず、この場所が憩いの空間となり、希望をもたらしてくれれば」と思いを込める。