3年ぶりの復旧作業 下有住の松日橋 住民らが力合わせる(別写真あり)

▲ 力を合わせて橋を復旧させる住民たち

 住田町下有住高瀬地内の気仙川で13日、今年初となる松日橋の復旧作業が行われた。3月末の大雨による増水で3年ぶりに流されたため、地域住民が力を合わせて木製の橋脚や橋板などを取り付けた。
 松日橋は下有住の中山、松日両地域を結ぶ長さ約40㍍の橋。現在、左岸側の松日地域と、右岸側の中山地域の世帯で構成する同橋受益者組合(金野純一組合長)が管理している。かつては下有住だけで七つの木橋があったが、近年は松日橋だけになった。
 橋は長さ11㍍の板4枚をつなぎ合わせるように架けられており、橋脚は「叉股(ざまざ)」と呼ばれる太い枝が二股に分かれた部分を使い、角度を調整しながら組み合わせた上に橋板を乗せる。
 普段は橋板の重みと叉股の絶妙な角度にかかる水圧で安定して流されないが、増水時はワイヤロープでつながれた橋板が浮き、橋脚は流れに逆らわずに倒れ、橋の形が失われる仕組み。
 3月末、低気圧と前線の影響で、県内は気仙を含む沿岸南部を中心に大雨となり、河川が増水して松日橋も流された。
 橋が流されたのは、令和3年以来、3年ぶり。年に1~2回は流される松日橋だが、長年、組合長を務めている金野さん(79)も「ここまで長い間流されなかったのは記憶にない」と話す。
 川の水量が下がるのを待って行われたこの日の復旧作業には、近隣住民ら10人余りが参加。春真っ盛りの陽気で気温も高まる中、住民たちは「せーの、よいしょ」などと威勢のいい声を響かせながら作業に汗を流した。
 今回の出来栄えは「いい方じゃないか。今回のも長く持てばいいね」と金野さん。「利用する人は多くないが、これ(松日橋)がないと風景がさみしいからね。残していきたい」と伝統継承への意欲もみせる。