2024大船渡市議選/初の無投票で終結 現職16人、新人4人が当選 盛り上がり欠くまま新任期に

 任期満了に伴う大船渡市議会議員選挙(定数20)は14日、告示された。立候補を届け出たのは現職16人と新人4人の計20人で定数を上回らず、21日(日)の投票を待たずして、全員の当選が決まった。有権者が一票を投じることなく終わるのは、昭和27年の市制施行以来初。議員の新任期は5月9日(木)から始まる。(佐藤 壮、7面に関連記事)

 

市内190カ所に設置されたポスター掲示板。20枚が並んだ

 同市議選は、昭和27年の市制施行以降19回目。平成13年の旧三陸町との合併後は6回目、同23年の東日本大震災後は4回目の実施となった。
 立候補の受け付けは午前8時30分から市役所地階会議室で行われ、開始前に18陣営が到着。その後、2陣営が訪れ、予想の20陣営すべてがそろった。
 18陣営が抽選順を決める予備抽選や届け出順を決める本抽選時に臨む際は、関係者が固唾をのんで見守った。届け出順決定後、1陣営ごとに書類審査に臨み、不備がないことが確認されると、市選管から選挙運動用の自動車表示板や街頭演説用標旗、運動員の腕章など〝七つ道具〟などを受け取り、足早に各候補者の選挙事務所に向かった。
 好天に恵まれた中、各候補者は、住宅地や買い物客らでにぎわう市街地、ワカメの塩蔵加工作業などが行われている沿岸部などを回った。有権者に手を振り、笑顔を交わしながら支持を訴えた。
 午後5時までに、新たな立候補の届け出はなく、無投票が確定。各地に響き渡った「お願いコール」がやみ、夕暮れとともに静けさが広がった。15日には、早くもポスター掲示板の撤去作業が行われた。
 在住地別の当選者は、盛町2人(現2)、大船渡町4人(現2、新2)、末崎町2人(現2)、赤崎町2人(現2)、猪川町2人(現2)、立根町2人(現2)、日頃市町2人(現1、新1)、綾里2人(現2)、越喜来1人(現1)、吉浜1人(新1)。改選前と比べて、盛町と末崎町で1人減、大船渡町と日頃市町で1人増となった。
 党派別では無所属16人(現12、新4)、共産党2人(現2)、公明党1人(現1)、国民民主党1人(現1)。同党公認の当選は初となった。
 男性19人、女性1人。年代別では30代1人、40代1人、50代3人、60代9人、70代6人。平成生まれの議員が初めて誕生した。
 有権者にとっては、市政や地域の将来を思い、議員を選ぶ一票を投じる機会を得られぬまま幕を閉じた。先月19日の候補予定者説明会は22陣営が出席し、告示直前まで立候補を模索する動きはあったが、届け出には至らなかった。
 今選挙を巡ってさまざまな住民が動いた一方、「このままではいけない」「何とかしなければ」という危機感は市内全体に広がらず、告示前の盛り上がりを欠いた。議員のなり手不足は、全国の小規模自治体が抱える共通課題になりつつある中、同市でも深刻な現状が浮き彫りになった。4年前の前回選も、21人の出馬と少数戦となっており、今後は定数見直しなどへの関心が高まるとみられる。
 13日現在の有権者数は、2万8686人(男1万3649人、女1万5037人)。令和2年の前回投票日に比べ、2258人少ない。任期は令和10年5月8日までの4年間。


23日に当選証書付与式

 

 大船渡市選挙管理委員会(佐々木一郎委員長)は、23日(火)午前11時から市役所地階大会議室で市議選当選者20人への当選証書付与式を行う。