ジャズ交流縁でおもてなし 米国在住夫妻のハネムーンを歓迎 着付けや茶席、コーラスも

▲ コーラスグループ「アミーチェ」のメンバーと交流を深めたグレースさん、ワングさん夫妻(右端)

 米国のジャズバンド「アンプ・トリオ」のベースを担うペリン・グレースさん(34)と、妻で医師のエイミー・ワングさん(35)が20日まで日本に滞在し、10日にはコンサートを行ったことがある大船渡にも立ち寄った。日本の文化を経験してもらおうと、市民らがワングさんに振り袖の着付けを行ったほか、茶席も用意。心温まるもてなしを通じて、リラックスしながら文化に浸るひとときを提供した。(佐藤 壮)

 

 2人はニューヨーク在住。昨年結婚し、ハネムーンで日本に訪れた。互いに日本好きだったことに加え、グレースさんが「日本の美しい文化をよく知っている人を紹介したい」と、県内陸部を巡る前に赤崎町在住でピアノ・英語教室を主宰する紺野英子さん(71)を訪ねた。
 来訪時は天候に恵まれ、市内のサクラも見頃に。春らしさにあふれる中で訪れた2人を、紺野さんや市内のコーラスグループ「アミーチェ」のメンバーらが出迎えた。
 紺野さん宅では、ワングさんが振り袖の着付けを体験。メンバーのサポートを受けながら、袖を通し、帯を巻いていった。
 ワングさんは「初めての体験で、着るのは大変。動くのもきつい」と笑いながらも、模様などが気に入った様子。椅子に座ってのお茶席も用意され、地元の菓子や抹茶を味わう一連の作法にも触れた。
 体験後、アミーチェのメンバーは2人を前にコーラスを披露。『少年時代』などに合わせて美しい声を響かせ、歓迎の心を示した。
 グレースさんは「新型コロナウイルスの影響でなかなか訪れることができなかったが、お互い旅行が好きで、日本に来たかった。とても感動している」と話し、笑顔を見せた。
 アンプ・トリオは平成30年6月、大船渡市盛町のリアスホールで開かれたコンサート「Whats’Jazz?」に出演。ジャズのスタンダード・ナンバーやオリジナル曲を演奏したほか、各楽器の即興演奏(アドリブ)も織り交ぜ、多くの聴衆を魅了した。
 このイベントは、東京オリンピック・パラリンピック「復興『ありがとう』ホストタウン」交流事業の一環で、国際交流のさらなる発展や大会の機運醸成を狙いとした。開催のきっかけは、同年2月に市内で開かれた「生涯学習推進のつどい」だった。
 参加者のうち、在札幌米国総領事館の広報文化交流担当領事、ハービー・ビーズリーさんがプレーヤーらを関係者に紹介。ビーズリーさんと交流した紺野さんがコンサートに賛同して、実行委員長を務めた。オリンピック後も、米国音楽関係者らを招いた公演、交流が続く。
 グレースさんは紺野さんと頻繁にメールでやり取りを重ねるほか、バンドとして発表したアルバム作品のジャケットには碁石海岸の写真を用いるなど〝大船渡愛〟が強い。グレースさんは「機会があれば、また大船渡で演奏したい」と語り、再訪を誓う。
 紺野さんは「グレースさんの年代はアニメの影響で、特に日本への関心が強い。長距離の車での移動を苦にしない人も多い。日本の田舎の方が、リラックスでき、魅力があることを発信していけば、大船渡もさらに交流人口が拡大し、発展していくのではないか」と話している。