ホシムクドリ県内初確認 市内で1羽発見 越冬のため飛来か 5月、博物館の野鳥写真展で紹介
令和6年4月19日付 7面
県内でこれまで観察記録がない冬鳥のホシムクドリが、陸前高田市で初めて確認された。市立博物館(菅野義則館長)の浅川崇典学芸員(34)が、高田松原津波復興祈念公園内などで成鳥1羽を発見した。同館は愛鳥週間(5月10~16日)に合わせ、ホシムクドリを含む野鳥の写真展を開催する。(高橋 信)
同館によると、ホシムクドリはムクドリ科に分類され、欧州西部などに自然分布。全長20~23㌢。名前の由来でもある黒っぽい体に星を散りばめたような細かい斑点模様が特徴となっている。
冬季は主にアフリカの地中海沿岸や中央アジアにかけて渡り、越冬するという。国内では九州南部で初めて確認され、数の少ない冬鳥、または旅鳥として西日本でまれに観察されていた。2000年代に入り、東北でも確認例が増えたが、本県では見つかっていなかった。
浅川学芸員が発見したのは1月下旬。気仙町の陸前高田浄化センターそばのフェンスで、ムクドリの群れの中に1羽が紛れ込んでいた。
県立博物館に照会し、「岩手県産鳥類目録および岩手県産珍鳥詳細記録」に記述がないことを確認。その後もホシムクドリは基本的にムクドリの群れとともに、主に祈念公園付近で過ごし、4月上旬に去ったという。
鳥類を含む市内生物の観察がライフワークの浅川学芸員。「東北で確認されていたことから、岩手にも飛来していることが想定され、この数年、ムクドリの群れなどを注意深く観察していた。今回実際に確認され、行動などを観察することができた。来年以降も同様に飛来するのか見ていきたい」と話した。
国内では少なくとも670種の野鳥が確認されている。愛鳥週間に合わせた写真展は、多様な種類の鳥に関心を持ってもらおうと初めて企画し、博物館1階の回廊で開催する予定。
問い合わせは、同館(℡54・4224)まで。