リンゴの安定生産へ採花作業 JAおおふなとが生産者の協力受け 授粉用花粉の確保目指す 輸入、国産品が入手困難で(別写真あり)

▲ リンゴの授粉用花粉を確保するため、職員らが採花作業を展開

 リンゴやナシなどが感染する重要病害「火傷病」が中国で発生し、花粉の入手が困難となっている中、大船渡市農業協同組合(猪股岩夫組合長、JAおおふなと)は18日、農業者の協力を受けて陸前高田市米崎町内でリンゴの花粉採取作業を開始した。同日は市農協とJA全農いわて(盛岡市)の職員計7人が生産者の圃場を訪ね、適期を迎えた「王林」などの花を摘んだ。摘み取った花から採取した花粉は販売する計画で、職員らは今年の安定生産を目指して汗を流した。(三浦佳恵)

 

 火傷病は、リンゴやナシに感染し、その花、枝などを枯らしてしまう日本では未確認の病害。進行すると、木が枯死することがあるという。
 中国では昨年、この火傷病が確認され、花粉や苗木の輸入が停止された。そのため、日本では国産花粉への需要が高まり、授粉用花粉の入手が困難になっている。
 陸前高田市は、米崎町を中心にリンゴの生産が盛ん。市農協によると、市内生産者の多くが花粉を購入しているといい、今後の影響が懸念されている。
 中には、自家採取や機材がある生産者に委託して花粉を確保する人もいるが、高齢や人手不足で作業が難しいという声も多い。そこで、市農協では市内の生産者約10軒から協力を受けて花粉を採取し、販売することとした。
 授粉用の花粉は、結実させたい品種に適した品種(交雑和合性があるもの)が必要で、採花には開花時期が早いものや花粉量の多い品種が適しているとされる。市農協では今回、多くの品種との交雑和合性があり、開花が早い「王林」「紅ロマン」「ぐんま名月」など4、5種類の花粉を採取することとした。
 採花作業は当初、22日以降を予定していたが、ここ数日の暖かさで開花期が早まり、18日に繰り上げた。初日は市農協4人、全農3人の職員が参加し、同町内2カ所の圃場で「紅ロマン」「王林」の花摘みを行った。
 このうち、同日午後は中山進さん(69)の圃場で作業。「王林」の木から、ふうせん状に膨らんだを花を一つ一つ丁寧に採取し、手かごに入れていった。
 中山さんは「花粉は今まで購入をしていたが、今年は自家採取をし、王林の木が多いことから協力させてもらった。集めた花粉が、少しでも皆さんの役に立てれば」と話した。
 集めた花は市農協の開葯器で花粉を取って乾燥させ、複数品種を混ぜた形で24日(水)頃から希望者に販売する予定。採花は約4㌶の圃場で行う計画で、作業員を増やして来週いっぱいまで進めるという。