王者の貫禄示す全日本連覇 大船渡市末崎町出身の寺澤選手 トライアスロン宮古島大会で 「世界のトップレベル目指す」 

▲ バイクで単独トップに立ち盤石のレース運びで連覇を達成

 大船渡市末崎町出身のプロトライアスリート・寺澤光介選手(30)=サニーフィッシュ所属、東京都=が、沖縄県・宮古島で開かれた「第38回全日本トライアスロン宮古島大会」で昨年に続く優勝を飾った。初優勝した前回大会からの1年間、海外大会などで経験を積み、王者の貫禄を示すレース運びで連覇を達成。「素直にうれしい」と快挙を喜びながら「世界のトップに近づけるように」とさらなる向上心を燃やしている。(菅野弘大)

 

優勝杯を掲げる寺澤選手㊥。「地元を盛り上げる活躍を」とさらなる飛躍を誓う

 トライアスロンは、スイム(水泳)、バイク(自転車)、ラン(長距離走)の合計タイムを競う耐久競技。小学生から続ける水泳がきっかけで、中学3年生の頃にトライアスロンと出合った寺澤選手は、高校卒業後に日本体育大学に進学。プロ選手を目指して本格的にトレーニングを積み、トライアスロンのスクール運営などを行う㈱サニーフィッシュ(東京都)に入社した。当初はショート(短距離)の選手だったが、昨年ロング(長距離)に転向すると、国内最高峰ともいわれる宮古島大会で初出場ながら初優勝を飾り、ロング選手としての才能を開花させた。
 自身の選手宣誓で幕を開けた今大会。コースはスイム3㌔、バイク123㌔、ラン35㌔と、前回よりランが5㌔長く、高低差のあるコースとなったことに加え、気温や湿度も高く「前回よりもタフな環境でのレースだった」と振り返る。
 強い潮流に苦戦する選手も多かった中、得意のスイムをトップタイで終えた寺澤選手は、バイクパートへのスムーズな移行で単独トップに立つと、ここから一人旅を続けた。最後のランでは、暑さの影響で体に異変を感じながらも、途中のエイドステーションで体を冷やしつつ、沿道の応援も力に走り続けた。「追われる不安もあったが、後続との差を確認して落ち着いて走りに集中できた。周囲の期待に連覇という形で応えられたのは良かった」としながら「どれだけ昨年の自分を超えられるかをテーマに挑んだが、目標には届かず、もっと強くなりたいと思った」と受け止める。
 優勝した前回大会から今大会までの1年間、世界トップレベルの大会・アイアンマンなど国内外でのレースに出場し、世界との差を痛感。昨夏からは、東京2020パラリンピックトライアスロン(視覚障がい)銅メダリスト・米岡聡選手(38)のガイドを務めるなど、幅広い取り組みで競技力に磨きをかける。「世界のレベルを体感したことがモチベーションとなり、自分のトレーニングや強化に反映できた。世界のトップを目指すことと、ガイドとして米岡選手とメダルを獲得することの二つが、大きな目標としてある」と語る。
 また、自身も公認アスリートとして紹介されている「大船渡アスリート応援団」をはじめ、地元からの応援も大きな原動力だ。「皆さんの目に留まる結果を残して、(公認アスリートの)佐々木朗希選手に負けない世界で戦う選手になれるよう頑張りたい」と意気込み、「トライアスロンはまだまだマイナーに思われがちだが『寺澤頑張ってるな』と、自分の活躍で地元を盛り上げられれば。今年はパリパラリンピックもあるので、注目してもらえたらうれしい」と飛躍を誓う。