クズ対策 行政も手だてを 高田松原を守る会 市長に要望

▲ 佐々木市長(手前左)に高田松原のクズ問題について語る守る会の千田理事長(右から2人目)ら

 陸前高田市のNPO法人高田松原を守る会(千田勝治理事長)は25日、佐々木拓市長を訪問し、高田松原のマツ植栽地での繁殖が問題となっている、つる性植物のクズについて市の対策を要望した。クズがマツの生育に悪影響を及ぼしていることから、県と連携しての早期対応を求めた。
 同市の重要な観光拠点に位置づけられる名勝・高田松原は、平成23年の東日本大震災津波で約7万本のマツと砂浜が流失。その後、新たなマツ植栽地や砂浜が整備され、植栽地には、県と市、守る会の連携で令和3年までに計4万本のマツ苗が植えられた。
 守る会によると、クズは昨夏の高温で急成長し、そのつるが絡まって葉で覆われ、マツが光合成ができない状態に陥っているという。これが原因とみられ、一部エリアでは枯れている木も確認されている。
 これまで、守る会では県内外のボランティアの力を借りてクズの刈り取り作業を展開。しかし、成長が早く、すでに広範囲に根が張られていると見込まれるクズの駆除は、人手も限られる中で困難を極めている。
 クズ以外に、気温の上昇に伴い生育の活発化が想定される雑草の駆除も要しており、状況の悪化に歯止めをかけるべく、市に対策を要望するに至った。
 この日は、守る会の千田理事長と小山芳弘副理事長、鈴木善久前理事長の3人が市役所を訪問。佐々木市長と石渡史浩副市長、熊谷重昭農林課長らが対応した。
 守る会では、現地の写真を示しながらクズ繁殖の現状と課題を説明。マツ苗植栽や生育支援に協力し、白砂青松の松原再生を願う多くの支援者、ボランティアらの思いがあることも語りながら、「早急に具体的な計画を立てて対策しなければ、被害がもっと広がるおそれがある。本気になって考えてほしい」と訴えた。
 佐々木市長は、市としても厳しい現状を認識していると伝えたうえで、これから必要となる密集したマツの間伐も見据えながら、県と連携しながら今後の計画を立てていく必要性があるとの見解を示した。
 守る会では「クズの〝根絶〟は現実的ではなく、長い目で対策していかなければならない」とし、マツ生育に協力していく意思も伝えていた。(阿部仁志)