苦難乗り越え地域一丸  尾崎神社式年大祭 華やかに余興奉納 多くの見物客魅了

▲ 赤崎グラウンド駐車場で繰り広げられた余興奉納

 平成28年以来8年ぶりの催行となった、大船渡市赤崎町に鎮座する尾崎神社(﨑山巌宮司)の式年大祭。東日本大震災の影響やコロナ禍を乗り越え、地域が一丸となって準備した余興奉納などが繰り広げられた。地元内外から多くの見物客が訪れ、勇壮な祭り絵巻を堪能した。(佐藤 壮)

 

 式年大祭は五穀豊穣や豊漁などを願い、4年に1度開催。実行委員会(鈴木由也委員長)や上三区、中赤崎、永浜、清水、蛸ノ浦、長崎の各祭組が、権現様や手踊りの稽古を重ね、祭り本番は1000人を超える地域住民らが参加した。
 朝方からすっきりとした青空に恵まれた中、蛸ノ浦の尾崎神社拝殿前では権現様奉納が行われ、発輿祭後には、鈴木委員長(72)が「準備期間が短かったが、それぞれの地域が立派に整えてくれた。感謝と祈りの大祭として、有意義な一日としたい」とあいさつした。
 神輿とともに行列が繰り出し、蛸ノ浦岸壁では手踊りなどが奉納された。清水岸壁では大漁旗で彩られた地元漁船に神輿が乗せられ、御前島まで渡御し、同島で海水禊や神事が行われた。
 神輿が戻ると餅まきなどがあり、華やかな雰囲気に。行列再開後は、飛び地境内社である中赤崎八坂神社と永浜厳嶋神社の各神輿が合流し、赤崎グラウンド駐車場まで練り歩いた。担ぎ手らは暑そうな表情を見せていたが、多数の見物客が詰めかけ、盛んな声援を浴びた。
 神事に続き、余興は伊勢神宮(三重県)にゆかりがある人々らで活動し、震災後市内でも奉納を重ねた「百桃の会」の巫女舞で開幕。中赤崎(権現様、手踊り)、永浜(権現様)、上三区(権現様、手踊り)、蛸ノ浦(権現様、手踊り)、長崎(権現様)、清水・長崎(手踊り)と続き、色鮮やかな衣装の踊り手らが躍動した。
 平成20年までは赤崎小で三社の神輿安置・余興奉納が行われてきたが、同校をはじめ町内は震災で甚大な被害を受けた。長期に及ぶ膨大な復旧・復興事業やコロナ禍を乗り越え、住民一丸となってつくり上げた祭り絵巻を目にした地域住民や帰省者らは、さまざまな思いを寄せた。
 フィナーレは山口岸壁からの「曳船祭繰り出し」。再び神輿が漁船に乗せられ、大漁旗をなびかせた20隻が大船渡湾を彩った。