春の夜空焦がす光の大輪 三陸花火大会 約1万1000人来場

▲ 音楽と組み合わせた花火をワイドに打ち上げ、観客を魅了した三陸花火大会

 陸前高田市の三陸花火大会は28日に開かれ、1万発を超えるワイドな花火が夜空を焦がした。主催した実行委(浅間勝洋委員長)によると、有料観覧席を設けた高田松原運動公園には約1万1000人(速報値)が来場し、昨春の2・2倍の観客を呼び込んだ。(高橋 信)


 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられて初のゴールデンウイークを迎え、汗ばむ陽気となった大会本番。正午に開場した運動公園には事前にチケットを購入していた観覧客のほか、当日券を購入した人が続々と来場した。
 打ち上げは午後7時過ぎに始まり、観客は音楽に合わせて連発される「ミュージックスターマイン」などを楽しんだ。
 実行委は、能登半島地震の被災地復興を願うミュージックスターマインも打ち上げた。人気アニメのヒットソングが響く中、赤色を基調とした迫力の大輪が夜空を彩った。
 各地のイベントで花火を撮影しているという埼玉県狭山市の館石理さん(84)は「三陸花火を見るのは初めて。このような大規模なイベントが地方で開催されるのはいいこと。イベントを契機に盛り上がってほしい」と話した。
 実行委は陸前高田市の個人・団体など有志で構成。「三陸から元気と笑顔を届けよう」と、令和2年秋にプレ大会を開き、以降、春に三陸花火大会、秋に三陸花火競技大会を手掛けている。
 実行委や共催した市によると、今回は打ち上げ前の交通渋滞など、大きな混乱はなかったという。売上金の一部を能登半島地震被災地でのボランティアツアー費に充てる。
 浅間委員長(43)は「海外からの人も見られ、コロナ禍の昨年までと違うにぎわいを感じ取れた。皆さんに楽しんでいただけて何より」と笑顔。「能登半島地震の復興には時間がかかると思う。東日本大震災で被災した三陸のように、必ず元気になるというメッセージをイベントを通じて伝えたい」と話した。