「団体委託型」関心高く 本年度導入の地域おこし協力隊制度 民間事業者の説明会出席など10社超に

▲ 申し込みまでの流れなどが示された説明会

 大船渡市が本年度新たに導入する地域おこし協力隊の「団体委託型」に、市内の民間企業・団体から当初予想を上回る関心が寄せられている。1日の説明会には約10社が訪れ、このほかにも申請に関する問い合わせが複数あった。市は、地域活性化や課題解決につながる新事業の担い手育成に加え、都市部からの移住促進、協力隊任期後の定着率向上などにも期待を寄せる。16日(木)まで各団体の申請を受け付ける。(佐藤 壮)


 市役所で行われた説明会には、観光や施設運営、林業、地域活性化などさまざまな分野の事業所関係者が出席し、オンライン参加も受け付けた。冒頭、阿部貴俊企画調整課長は「地域と隊員、事業者の皆さんが〝三方良し〟となる取り組みにチャレンジを」とあいさつした。
 引き続き、市担当者が任用形態や本年度から導入する団体委託型の特長、仕組み、隊員を委嘱するまでの流れ、受け入れ事業者を選定するうえでのポイントなどを解説。出席事業者からは、雇用する際の保険制度や給与形態の取り決めなどについて質問が寄せられた。
 また、市側に対して「本年度は、何人を受け入れる予定なのか」といった声も。阿部課長は「たくさんの方を受け入れたいと考えており、現段階ではどこかでストップをかける思いはない。ただし、協力隊員をしっかりサポートし、孤独感や住みにくさを感じさせないような生活面を含めた支援ができるかは確認していきたい」などと述べた。
 出席した事業者の一人は「林業系の端材を生かした取り組みや、特殊分野での新事業、松くい虫被害が広がる空間の課題解決などに意欲がある人材を求めて、申し込みたいと思っている。都市部など〝外の目〟を生かしたアイデアも期待できる」と話していた。
 地域おこし協力隊制度は、都市部から地方に住民票を異動し、生活の拠点を移した移住者らに市などが委嘱。隊員は原則1~3年間その地域に居住し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR、農林水産業への従事、生活支援など多様な分野の活動を行いながら定住・定着を図る。
 市は平成28年度から活用し、通算14人を委嘱。これまでは、市があらかじめ具体的なプロジェクトを掲げ、目的や活動内容を示し、隊員を募集してきた。新たに団体委託型も導入し、隊員と共同で取り組む意欲のある事業者を募る。
 市内に本店や支店、営業所、活動拠点を置く法人か、個人事業主が対象。事業を運営するための単なる補充人材ではなく、新たな取り組みや挑戦のために必要な「担い手候補者」として雇用するよう求める。
 このほかに▽市内での生活を支援するための対策を講じる▽隊員の任期終了後、雇用の継続や独立の支援など、サポートを継続する意志がある──なども要件としている。
 受け入れる事業者と隊員は、雇用契約を締結。隊員と共同で、定期的に活動費使用計画書兼実績書を作成する。市から受け入れ事業者に支払う委託料は、隊員1人当たり年額520万円を上限とする。隊員の活動期間は原則1年以内とし、3年を限度として期間を更新できる。
 事業者の応募書類提出は16日まで。同下旬に受け入れ事業者を決め、8月上旬から隊員募集を開始。選考を経て、10月からの活動開始を見据えるが、隊員の応募状況で変更する可能性がある。
 市では地元企業の新規事業、事業拡大に加え、移住の促進・定着につながる流れを見据える。任期終了後の定着率は5割未満で、全国平均の7割程度を下回る。市は「定着率は改善していきたい。この制度を導入することで、市内で定住する流れができれば。今回の募集に関しては、任期終了後のサポート体制も重視したい」としている。
 問い合わせは市企画調整課地域おこし協力隊受け入れ事業者募集担当(℡27・3111内線230)へ。