認知症支援へ新組織発足 チームオレンジたかた 21日設立総会 共生の陸前高田目指す

▲ 週1回行われているスローショッピング事業で情報交換する関係者

 陸前高田市で認知症の人やその家族への支援体制を強化しようと、市民有志による新組織が立ち上がった。その名は「チームオレンジたかた」。市内では認知症支援に関する官民の取り組みが各地で展開されている。母体組織をつくることで個々の結びつきを強め、同じ方向を向いて「誰もが安心して過ごせる共生社会」へと突き進んでいく。21日(火)に設立総会を開いて本年度の事業計画などを決め、正式なスタートを切る。(高橋 信)

 

 チームは3月初旬に発足。市が手掛ける認知症サポーター養成講座とステップアップ講座の二つを修了した人で構成し、今月2日時点で21人が入会している。
 活動拠点は、認知症カフェの会場にもなっている米崎町のコミュニティー施設「朝日のあたる家」とする考え。現段階で市が週1回実施しているスローショッピングへの協力、「つどい」や認知症カフェの開催、認知症の人らが参加するお茶っこ会、体操の実施などを想定している。
 21日の設立総会では会則や役員を決め、事業計画を固める。会長職としてリーダー、副会長職として副リーダーを置く方向。メンバーは定期的に集まって情報交換し、新たな企画も練る。
 陸前高田市では東日本大震災後、年齢や性別、障害の有無など、あらゆる垣根を越えて誰もが住みよいまちを目指し、「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」を合言葉に、さまざまな支え合い活動が展開。認知症の人やその家族らの居場所となるカフェや「つどい」なども各地で開設されている。
 一方で、認知症支援に取り組む関係者の間では以前から「横のつながりを強化する組織が必要」との声が上がっていたという。そうした中、令和3年に始まった市によるスローショッピング事業が、新組織発足の流れを加速させた。
 同事業では毎週木曜日、高田町の「アバッセたかた」で、高齢者らがゆっくりと買い物を楽しめるよう見守り支援している。「パートナー」と称する見守りボランティアは、おのおのでサロン活動などに熱心に取り組んでいる人が多く、「チームとして活動していこう」とまとまった。
 パートナーを担う佐々木秀子さん(71)=高田町=は「自分はスローショッピングしか携わっておらず、広田をはじめ地域で支え合う自主的な活動がこんなにも盛んに行われていることを、パートナー同士で情報交換する中で知った。新チームができても可能な範囲の中で力になりたい」と意欲を語る。
 チームオレンジたかたを後方支援する市地域包括支援センターの千葉春香係長は「これまでの個々の活動は尊重しながらも、サポーターの輪がさらに広がるよう連携できるところを共有し、みんなで支え合う社会を築いていきたい」と前を向く。
 14日(火)には、受講がチーム加入の条件となるサポーター養成講座(認知症を学ぶ講座)が開講する。
 講話とビデオ鑑賞の2本立て。認知症の正しい知識や対応方法を学ぶ。会場は市役所4階で、時間は午前10時~11時30分。申し込みは13日(月)まで。2回目の講座は7月9日(火)を予定している。
 問い合わせは、地域包括支援センター(℡54・2111内線218)へ。