新規生産者獲得目指す 北限のゆず研究会 栽培・管理のマニュアル作成

▲ 新規の生産者向けにマニュアルを作成

 陸前高田市の北限のゆず研究会(佐々木隆志会長)はユズの生産拡大に向け、生産マニュアルを作成した。誰でも取り組めるよう植樹から収穫までの栽培方法、病害虫対策などを分かりやすく掲載。新規生産者に配り、東北一の産地を目指す。
 マニュアルはA4判フルカラーの14㌻。発芽や花の開花、実の肥大期、着色期などユズの1年間の生育過程や、栽培を始める時の手順、植え付ける際の注意点、施肥のポイントなどを写真やイラスト付きで丁寧に紹介している。
 寒さに弱い若木の冬囲い、乾燥・病害虫対策も掲載。巻末にはユズ生産の収支に関する参考情報を載せている。
 研究会によると、陸前高田市内各地に生えているユズは、200年以上前から庭木としてあったとされる。産業用ではなく、主に自家消費されてきたが、産地の北限である特色や食文化を生かして地域の新たな特産品としようと、平成25年、市内の農家や障害者支援施設などが研究会を立ち上げた。
 県内外の物産イベントへの出店、加工品の商品化などで徐々に認知度を上げている北限のゆず。県内にユズの産地がほぼない希少性を背景に、加工用などとして取り扱いたい事業者は年々増加している。
 一方で、もともと庭木としてあったため、栽培管理を徹底している人は限定的で、生産体制がぜい弱なことから、十分に供給できていない状況が続いている。ユズは豊作と不作を1年ごとに繰り返す性質を持つことから、生産量が年ごとにばらつくのも課題だった。
 研究会は収量増と安定生産に向け、令和4年度に市内全域と大船渡市の一部地域で初の園地調査を実施。このデータを踏まえ、本年度からの3年間は産地拡大に乗り出し、生産マニュアルを生かしながら新規生産者の確保にも努める。 
 マニュアルは、一般向けには配布していない。佐々木会長は「農業改良普及センターをはじめ関係機関の多大なご協力のおかげで、分かりやすく、かつ詳しいマニュアルとなった。東北一という目標は非常に高いが、一歩ずつ地道に歩んでいくしかない。マニュアルを生かして新規生産者も獲得していきたい」と意気込む。