〝ママ主体〟よりオープンに 大船渡市の産前・産後サポート「ほっとカフェ」 サン・リア内の新センター利活用も意識

▲ 本年度1回目の「ほっとカフェ」。母親や妊婦らが気軽に会話を交わし、和やかな雰囲気が広がった

大船渡市は7月をめどに盛町のサン・リア内に「市こども家庭センター」と交流広場の開設を目指す中、妊婦や母親がよりオープンな雰囲気で語り合い、悩みや不安軽減につなげる取り組みにも力を入れる。少子化とともに少母化も進み、市は〝ママ主体〟の会話や交流を重視し、孤立感の防止・軽減も見据える。同センターでは天候にかかわらず過ごせる交流広場に加え、一体的な相談支援体制も構築する方針で、不安や悩みをスムーズにつなぐ流れも描く。(佐藤 壮)


 先月23日、盛町の市保健センターで本年度最初の「ほっとカフェ」が開設された。6月に出産を控えた妊婦や、1歳未満の子どもを持つ母親計6人に加え、一緒に訪れた乳児や市の保健師、助産師らも参加した。
 保健師や助産師が自らの出産経験を語り、母親は出産に伴う入院中の日々を振り返った。「円座クッションがあると便利」「イヤホンは持っていったほうがいい」「病院食はふりかけがあると、食べることができた」といった声に加え、子育てに関しては「(ゆりかごのように揺らして持ち運びも可能な)バウンサーを使っている」といった声が聞かれた。
 生後数カ月の乳児を妊婦が抱き、笑顔を交わす光景も。時折、保健師や助産師に子どもを預け、母親同士での会話も弾んだ。NPO法人おはなしころりんによる絵本の読み聞かせも行われた。
 妊娠9カ月で盛町在住の松高美貴さん(27)は「〝先輩〟の話を聞くことができ、出産のイメージが広がった。細かい気づきもあり、参加して良かった」、同じく妊娠9カ月で同町在住の門間春香さん(37)は「入院中や産後に便利なグッズとかを聞けて良かった。ありがたかったので、出産後にも参加して経験を伝えられれば」と話していた。
 市は令和5年度以前も産前・産後サポート事業を実施していたが、保健師側で妊産婦を選んで声がけし、参加を促してきた。本年度は各月の開催日を事前に周知し、広く申し込みを受け付け、幅広い層の中で気軽に語り、過ごせる空間づくりを目指す。
 市こども家庭センター母子保健係の新沼美香係長は「参加して良かったと思った人が、周囲に声をかけながら参加できる流れを目指したい。『ママのため』という視点を大事にし、ママ主体の語りになるような運営を意識している。『こういうことに悩んでいるのは私だけではない』といった気づきや安心感が得られれば」と期待を込める。
 時には子どもから目を離し、保健師や助産師に任せ、母親同士のおしゃべりに夢中になる──。少子化だけでなく、少母化も叫ばれるようになった中、孤立感の防止やコミュニケーションづくりも重視している。
 この事業は、7月オープンを見据える市こども家庭センターの有効活用や、スムーズな相談も見据える。国の方針に基づく一体的相談支援体制の構築に加え、以前からの課題だった子ども・子育てに係る各種手続き窓口の一元化実現を目指す。
 子ども本人を含め子育て世帯からのさまざまな悩みに応じられるよう、行政機能の一部を市役所本庁や保健センターからサン・リア内に移設。さらに、雨天や猛暑時など天候にかかわらず過ごせる屋内の遊び場など、子ども・子育て世帯を中心に利用できる交流広場を整備する。
 今年2月と3月にワークショップを開催し、市民らの意見を集めた。今月下旬以降にも、3回目を開催する方針。各種設備設置を進めるとともに、6月をめどに施設愛称も発表する。

 「ほっとカフェ」も7月以降は、サン・リア内の交流広場で計画。足を運ぶ機会をつくり、身近な場所に相談機関や関係機関があることを知ってもらいながら、専門スタッフに相談しやすい流れも見据える。 

今月16日(木)と6月5日(水)はいずれも午前10時~正午に、市保健センターで開催。対象は妊婦と、1歳未満の子を持つ母親で、定員8組。市こども家庭センター母子保健係(℡27・1581、健康推進課共通)に加え、市ホームページから入る申し込みフォーム=別掲のQRコード参照=でも参加を受け付けている。