〝越境〟で自分磨く 湯浅さん(神奈川)と椎名さん(千葉) 地域みらい留学で入学 住田高校

▲ 地域みらい留学で住田高校に入学した椎名さん㊧と湯浅さん

 住田町の県立住田高校(伊藤治子校長、生徒61人)に本年度初めて、県外向け募集枠「地域みらい留学」による生徒が入学した。〝越境〟で住高の一員となったのは、湯浅皓埜さん=神奈川県出身=と椎名琴海さん=千葉県出身。自然豊かな山あいの地で自分を磨く高校3年間にしようと意気込む2人は、それぞれの目標に向かって走り出している。(清水辰彦)

 

 地域みらい留学は、居住する都道府県の枠を超えて全国各地の魅力ある公立高校に進学できる仕組み。高校進学の選択肢を広げ、子どもたちにさまざまな学びの環境を提供するとともに、過疎地域の少子高齢化、人口減少問題の解決を目的としている。島根県の一般社団法人地域・教育魅力化プラットフォームが運営し、平成29年にスタート。昨年4月時点で全国33道県の100校以上が留学先として登録され、全国的に広がりを見せている。
 住田高校は令和2年度から参加しているが、昨年度まで入学者はなかった。昨年9月、東京都で行われた合同説明会に同校が参加した際、湯浅さんと椎名さんの目に留まった。
 湯浅さんは「アーチェリーに興味があった。住田高校の交通費や給食費補助、自然も魅力に感じた」と入学を決めた。
 一方の椎名さんは、規定の制服がなく、紺色のブレザーを着用すればスカートもスラックスも自由度の高い着こなしができる同校の「パーソナルユニフォーム」について「時代に合っていると思った」と話す。
 また、説明会の際、住高生をサポートしている教育コーディネーターと話し、「自分のいいところを見つけてくれると思った」と感じたといい、「住田高校は生徒の個性を大事にしてくれると聞いた。ここなら自分をさらけ出して楽しい高校生活を送れると思った」と説明会を振り返る。
 2人は大船渡市内の下宿で暮らしながら住田高校に通っている。入学から1カ月余が経過し、高校生活にも慣れてきた様子。
 湯浅さんはアーチェリー部に入部して日々、腕を磨き、自学で中国語や韓国語の勉強にも励む。研修会館内に設けられている自学自習スペース「住高ハウス○○」では外国人との国際交流の機会も設けられており、湯浅さんも足を運ぶ。「アーチェリーで大きな大会に出たい。国際交流もいい経験になる」と、充実した表情を見せる。
 一方、「3年間通して、何か一つのことをやり遂げたい。これから目標を見つけて、それに向かって走り抜けたい」と意気込む椎名さん。12年のダンス歴を持つといい、近くダンス同好会を立ち上げる予定だ。
 初の地域みらい留学生となった2人は、それぞれ目標を掲げ、日々の学校生活に臨んでいる。学校としても、2人の入学をきっかけに、今後さらに地域みらい留学での入学者を増やしていきたい考え。