イサダ漁 厳しい実績 市魚市場の今季水揚げ 数量849㌧、前年比大幅減

▲ 厳しい実績に終わった今季のイサダ漁(3月4日)

 大船渡市魚市場における今季イサダ漁の水揚げ数量は849㌧と前年の27%にとどまり、厳しい実績に終わった。金額も前年の62%となる1億2297万円と伸び悩んだ。海水温上昇などの影響を受け漁場が遠ざかり、関係者は来年以降の見通しにも不安を募らせる。
 イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁の餌として流通。例年2月下旬から3月上旬に解禁され、漁況が良ければ4月末ごろまで水揚げが続く。魚市場岸壁に水揚げされるカゴに入った桜色の魚体は、春の魚市場を色鮮やかに彩る。
 養殖用やレジャー向けとしての需要に加え、県内では近年、さらなる需要拡大を見据え、付加価値向上に向けた研究にも注力。イサダから肥満抑制効果などがあるオイル成分を抽出してサプリメントを開発しようとの取り組みも進んでいる。
 今季の初水揚げは3月4日。陸送を含む13隻で、30㌔入りのカゴ計410個(12㌧)が積み上がった。同月は100㌧を超える日が数日あったものの、4月に入ると水揚げ量が落ち込んだ。
 累計数量は849㌧と前年の3分の1にも届かず、令和2年の605㌧以来4年ぶりに1000㌧を割り込んだ。
 今季の入札価格は初日が1㌔当たり90円で、その後は低調な動きだったが、3月19日に平均価格が100円台に乗ると、4月上旬まで上昇。8日には357円まで高騰した。
 昨季は50円台だった平均単価は今季、130円超となったが、数量減をカバーするまでには至らず、累計金額は1億2297万円で、昨季の1億9878万円から約7600万円下回った。
 今季の漁場は気仙沿岸に形成されず、大槌が南端で北にとどまり、さらに岸沿いには形成されず、沖合での操業が続いた。気仙沿岸を拠点とする漁船にとっては厳しい条件となったほか、しけで漁を見合わせる日も目立った。
 県水産技術センター水産情報配信システムによると、今月7日現在の全県数量は2132㌧で、前年の6458㌧を大幅に下回った。宮城県では今季、水揚げゼロに終わった。
 今季操業した第二十一志和丸の船頭で、県沿岸漁船漁業組合の志田惠洋組合長理事=大船渡市赤崎町=は「宮城県で水揚げがないのは異常で、これが将来の〝普通〟になるかは分からない。(冷水でイサダが来やすい)親潮の差し込みが弱いのか、黒潮の張り出しが強いのかは分からないが、海は大変な状況になっている。大船渡湾の水温は昨年よりも6度ほど高い。想像もしなかった状況が続き、イサダ漁の将来も黄色信号が出ているのではないか」と話す。