高田松原海水浴場に国際認証 県内第1号でブルーフラッグ取得 安全の取り組みや水質など評価

▲ 昨年開設された高田松原海水浴場。今夏はブルーフラッグが掲げられる

 陸前高田市の高田松原海水浴場が、安全で美しいビーチとして認められ、国際環境認証「ブルーフラッグ」を取得した。認定は県内第1号。市が手掛けるブルーツーリズムの一環で推進した、誰もが楽しめる安全・安心の取り組みや良好な水質などが評価された。市民らが愛した高田松原を奪った東日本大震災の発生から、きょう11日で13年2カ月。再生工事を経てよみがえった砂浜に新たな称号が加わり、運営側は同海水浴場のマリンアクティビティー充実とともにブルーフラッグをPRし、誘客を狙う。(高橋 信)

 

きょう震災13年2カ月

 

 国の名勝に指定されている高田松原の海辺に今夏から、世界共通の青色の旗が掲揚されることとなった。
 ブルーフラッグは、デンマークに本部がある国際NGO「国際環境教育基金」(FEE)がビーチやマリーナ、観光用ボートを対象に実施する制度。ビーチは▽水質▽環境マネジメント▽環境教育と情報▽安全性とサービス──の4分野33項目の基準を満たせば認定され、毎年審査を受けて更新する必要がある。
 日本ブルーフラッグ協会によると、昨年5月現在、世界51カ国、5036カ所が取得している。震災の被災3県でみると、高田松原は宮城県内の3海水浴場に次ぐ4例目となった。
 白砂青松の景勝地として知られる高田松原。かつての砂浜は震災でほぼ消失し、背後にあった約7万本の松林は奇跡の一本松のみを残してなぎ倒された。県が砂を敷き詰めるなどして砂浜が再生され、令和3年、11年ぶりとなる海開きを迎えた。
 市や市観光物産協会によると、同年の海水浴客数は約1万3500人、4年は約8200人、5年は約1万9500人。震災前年の平成22年の約17万5600人(市調べ)には遠く及ばない入り込みとなった。新型コロナウイルス禍や天候不順に加え、レジャーの多様化などを背景とした全国的な海水浴の人気低迷が影響したとみられる。
 こうした状況を踏まえ、市は誰もが安心して楽しむことができ、多様な層のニーズを満たすべく、市観光物産協会などと連携しながらブルーツーリズムを推進。この一環でブルーフラッグの取得を目指した。
 令和4年度に認定に向けた現地調査を実施。市民有志や企業・団体などによる海浜清掃活動が盛んに行われている地域性が、きれいな海を維持するという審査基準クリアの追い風となった。
 さらに昨年度、車いすが通れるよう砂浜に敷くビーチマットや水陸両用の車いすを導入し、海のバリアフリー化に取り組んだ。海水浴場を運営する同協会は、ライフセーバーの資格を取得した職員2人を配置し、安全管理体制の強化に努めた。
 市は今夏の海開きを前に、ブルーフラッグの意義・目的を普及する出前授業を地元小学生向けに開催する計画。海水浴場には同フラッグ認証ビーチの看板を設置し、7月12日(金)を予定する海開き式に合わせ、同フラッグの掲揚式も行う。
 海水浴場の開設期間は、式典翌日の同13日(土)から8月18日(日)までの予定。今年はSNSへの投稿を促すフォトスポットを新設し、昨夏から強化しているマリンアクティビティーをアピールしていく。
 市観光交流課の菅野大樹観光係長は「海水浴を楽しむコンテンツを拡充している中、ブルーフラッグを無事取得でき、大変うれしい。ブルーフラッグを啓発しながら、さらなる魅力充実を図り、交流人口増へとつながるよう誘客を推し進めたい。海のバリアフリー化は当市のノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくりの理念にも合致し、積極的にPRしていく」と意気込む。