無投票後の運営いかに 市議会 きょう改選後初の臨時会 正副議長は最大会派軸に調整か

▲ きょうの臨時会では、正副議長選出などが行われる

 大船渡市議会(定数20)の改選後初となる臨時会は、きょう16日午前10時から開かれる。最大の焦点は、正副議長をはじめとした議会人事。ともに6議員で最大会派の光政会と新政同友会が軸となって調整が進んだとみられるが、監査委員や常任委員会構成を含め、2~3議員で構成する会派間の連携・協調も鍵に。4月の市議選は史上初の無投票に終わった中、市民目線に立った議会運営に加え、充実した市政を導く体制をどのような形で築き上げるかが注目される。(佐藤 壮)

 

 市議選は先月14日に告示され、現職16人、新人4人が立候補。昭和27年の市制施行以来、初めて定数を上回らず、有権者は一票を投じることなく幕を閉じた。
 今月9日から新任期に入り、会派構成は所属議員数、五十音順に光政会6人、新政同友会6人、清陵会3人、改革大船渡2人、日本共産党大船渡市議団2人で、無会派は1議員。5会派体制で、新人議員による清陵会結成により、前任期から1増となった。党別では無所属16人、日本共産党2人、公明党1人、国民民主党1人。
 臨時会では議長と副議長をはじめ、総務、教育福祉、産業経済の3常任委員会、議会運営委員会を編成。気仙広域連合と大船渡地区消防組合、同地区環境衛生組合、岩手沿岸南部広域環境組合などの各議会議員らに加え、監査委員も選ぶ。
 注目の正副議長選は同市の場合、議会運営への精通度や対外的な発言力などを踏まえて一定の当選回数を持つ議員が選ばれ、改選を機に交代する流れが続く。
 最大会派のうち、光政会では伊藤力也氏(63)=無所属5期、三陸町綾里、新政同友会では今野善信氏(72)=無所属4期、猪川町=の動向が取りざたされている。
 光政会は、平成20年の市議選で初当選を飾った議員が結成。伊藤氏は当時からの唯一の現職。前任期では、岩手沿岸南部広域環境組合議長などを務めた。
 今野氏は、同24年の初当選以来一貫して新政同友会に所属。前任期は、議会運営委員会委員長や大船渡地区消防組合議会議長などに就いた。
 議長は、議場の秩序を保ちながら本会議や全員協議会などの議事を整理し、議会事務の処理も担う。市議会を代表して各種催事・式典に出席する機会も多い。
 一方、副議長は、議長代理の職務に加え、議会内に設置される特別委員会の委員長を務めるのが慣例。市政、市議会全般に関する諸問題解決のけん引も担う。
 前任期当初は、光政会が単独の最大会派で、同会派所属だった現市長の渕上清氏が議長に選ばれた。その後、任期途中で議員辞職し、副議長だった第2会派・新政同友会所属の三浦隆氏(64)=無所属7期、盛町=が議長となり、その後任には第3会派だった自由民主・無所属の会(現・改革大船渡)の船野章氏(72)=無所属6期・日頃市町=が就いた。
 定数20となった平成24年以降の議会構成を振り返ると、議員が過半数に達した会派はなく、正副議長選では、複数会派が協調姿勢をとって選出する動きが続く。今任期は最大会派同士の連携で過半数は確保できるが、2~3人の少数会派や無会派議員も含めた議会全体のバランスにも力点を置いた調整が続いたものとみられる。
 市議選が初の無投票に終わったことで、市民の議会への関心が薄れる懸念が広がる中での新任期スタートとなった。地域住民に根ざした姿勢に加え、市の将来像をどう打ち出し、実現に導いていくかも問われる。
 前任期では、議員定数等検討委員会が議員定数・議員報酬・議員の政務活動費について「さらなる検討を次の議会につなぐ」とし、特別委員会での審議を求める内容をまとめた。より具体的な検討のあり方や、住民意見を吸い上げながら取りまとめる流れにも関心が集まる。
 また、調査では立候補をしやすい環境や議会のデジタルトランスフォーメーション化推進による効率性向上の重要性も浮き彫りに。議会としても無投票の要因に向き合い、対策をまとめられるかが注目される。
 東日本大震災の復旧・復興事業が完了し、少子高齢化や人口減少が進む中、市の予算規模は縮小傾向が続き、行政運営にも厳しさが増している。渕上市政は2年目に入り、より具体的な施策展開へと動き出す中、課題解決や持続可能なまちづくりに向けて実りある論戦も求められる。