5年度利用 過去最多に おおふなぽーと イベントや滞在が定着

▲ 全館オープンから6年を迎えるおおふなぽーと

 大船渡市防災観光交流センター・おおふなぽーとの令和5年度利用者は約8万9000人で、年度別では過去最多となった。産業まつり会場としての利用に加え、自習やワイファイ環境を生かした滞在、多彩な市民活動が定着。指定管理者である市観光物産協会(齊藤俊明会長)は、防災学習や観光面での利用促進など、さらなる活気創出につなげる。
 おおふなぽーとは、東日本大震災で被災した大船渡駅周辺地区の「防災学習、観光交流情報の発信、市民交流の場づくり」を目的に整備。平成30年6月1日に全館オープンした。
 1階には観光案内所があり、2階の交流・貸館スペースには会議室や自習スペース、和室、多目的室、展示室を備え、数人での交流や最大50人程度の会議まで幅広く対応。各部屋をつなぐ「コラボストリート」もあり、多様な活動を後押ししてきた。管理運営のうち、防災・市民交流事業などはNPO法人おはなしころりんが受託している。
 開館後の利用実績をみると、令和元年度の貸館件数は2102件、貸館利用者は2万7266人、貸館外利用者数は4万7134人で計7万4400人。2、3年は新型コロナウイルスの影響で大きく落ち込んだが、4年度は貸館件数が2598件、貸館利用者は4万4799人、貸館外利用者は3万9314人の計8万4113人だった。
 5年度は、貸館件数は2825件。貸館利用者が4万4517人、貸館外利用者は4万4390人で、総利用者は計8万8907人と前年度比5・7%増となり、過去最高となった。
 貸館利用者は5年度も、産業まつりが開催された10月が約2万8000人と半数超を占めた。3万人を超えた前年度を下回ったが、5年度のまつり2日目は降雨に見舞われたことで来場者数が伸びなかったことが要因とみられる。
 貸館件数自体も伸びており、新型コロナウイルスの5類移行を受け、多様な住民活動や会議利用が増えた。貸館以外の利用では1階部分では観光客の立ち寄りが多く、2階部分では親子での滞在や高校生らの自習が目立つ。
 自習利用が多い時期には、スペースを新たに確保するといった対応も。ワイファイを利用しやすい環境から、幅広い世代の市民らが足を運び、それぞれの時間を過ごしている。
 同協会は利用の定着に手応えを示す一方、会議室や多目的室に比べて利用が伸び悩むスタジオなどの利便性をアピールしながら、館内全体の有効活用を目指す方針。観光客のさらなる立ち寄りや、防災学習の利用促進にも力を入れることにしている。