交流人口拡大に期待 民泊型修学旅行 本年度最多の300人超受け入れ 地方ならではの暮らし体験
令和6年5月17日付 7面

一般家庭に宿泊する「民泊」型修学旅行の受け入れが、陸前高田市で盛んに行われている。14~16日は1校当たりとしては本年度最多の300人を超える生徒たちが来訪し、民泊を通じて田舎ならではの暮らしを体験。地元の受け入れ家庭は「子どもたちとの触れ合いは楽しい」などと話しており、交流・関係人口の創出、拡大に期待がかかる。(高橋 信)
4月から春の修学旅行シーズンに突入し、同市では6月までに関東、関西圏などから中学校6校、高校1校の合計約1300人を受け入れる。14~16日は学校別で最多となる300人超の中学生が訪れ、約90軒に分かれて民泊を体験した。
最終日は高田町の夢アリーナたかたでお別れ会が行われ、「また陸前高田に来て」「連絡してね」などと言葉を交わし、別れを惜しんだ。
広田町の畠山ミキ子さん(68)は、3人を受け入れた。「海を見せたり、夜に星空を見ながら散歩したりした。素直でいい子ばかりで、元気をもらった。陸前高田に興味を持ってもらいたい」と笑顔で見送った。
5人を受け入れた横田町の平坂幸子さん(79)は「タケノコ掘りなどを楽しんだ。いろいろな家庭が受け入れに関われば、その分、都会の子どもたちが陸前高田の暮らしを知る幅が広がると思う。だからこれからも協力しようと思う」と話した。
陸前高田市での民泊型修学旅行は、平成28年度に本格化。東日本大震災の教訓を学んだり、農漁業の作業に一緒に汗を流したりと、同市ならではの暮らしを体験でき、令和元年度は過去最多の約2500人の中高生らが利用した。
2、3年度は新型コロナウイルス禍で休止。4年度の利用者は2校195人、5年度は5校721人だった。
本年度は秋季の6校約1300人を加え、年間計約2600人が訪れる予定。新型ウイルス流行前の受け入れ規模に戻り、地元にとっても大きな事業となる。
生徒と受け入れ家庭を結ぶ窓口を担うNPO法人SET(三井俊介理事長)の吉原直矢さん(29)は「地域の人たちに受け入れなどで協力していただき、大変感謝している。民泊を通じて陸前高田の魅力を伝えていきたい」と話している。