「ラーメン店を開きたい」 大船渡東高卒の佐々木さん(高田町) 大船渡の黒船で〝修業〟に励む 夢の実現へ第一歩

▲ 子どもの頃からの夢をかなえようとラーメン修業に励む佐々木さん

 3月に県立大船渡東高校を卒業した佐々木逢釉人さん(18)=陸前高田市高田町=は、子どもの頃から抱く「ラーメン店を開きたい」という夢を実現させる第一歩として、先月、大船渡市でラーメン店を展開する「大船渡黒船GROUP(グループ)」(岩瀬龍三代表)に就職した。現在は同市内の店舗で働きながら、大好きなラーメンと向き合う〝修業〟の日々を送る。佐々木さんは、「仕事は大変だが、自分の好きなことができるのは楽しい。まずは自分の店を持つことを第一目標に励みたい」と話し、先を見据える。(三浦佳恵)

 

 佐々木さんがラーメンに興味を持ったのは、小学校低学年の頃。祖母と行った陸前高田市内の飲食店でラーメンのおいしさを知り、「ラーメンを作ってみたい」という思いを抱いた。
 中学生になり、進学先を考える中で頭にあったのは大好きなラーメン。「将来、ラーメン店や飲食店で働きたい」と東高の食物文化科に入学し、専門的な調理技術や食に関する知識を学んだ。
 部活動では「ビジネス同好会」に所属し、3年間にわたってラーメンを研究。1年次はスープ、2年次はチャーシュー、3年生のときには味玉(煮卵)をテーマに、地域資源の利活用や産業創出などにも目を向けた事業計画をまとめた。
 計画は、大船渡市主催の「ビジネスプランコンテスト」に応募し、3年連続で最終審査会に臨んだ。ラーメンへの情熱を込めた発表内容は高く評価され、2、3年次にはドリーム部門・高校生の最優秀賞に輝いた。
 岩瀬代表(60)とは昨年、同コンテスト出場のために協力を依頼して縁が生まれた。その後、黒船グループへの就職が決まり、先月1日に入社した。
 現在、佐々木さんは猪川町と大船渡町の2店舗を行き来しながら、製麺や接客、食器洗いといった仕事に励み、修業の毎日を送る。入社から1カ月半余りがたち、「最初は分からないことだらけで大変だったが、自分の好きなことができて楽しい。先輩方も親切に教えてくださり、皆さんいい人ばかり」と充実した表情を見せる。
 一方で、「自分もラーメンへの熱意があると思っていたが、先輩方はそれ以上。もっと頑張らなきゃいけないと思う」と気を引き締める。休日も先輩たちと他店のラーメンを食べに行くなど、研究を怠らない。
 岩瀬代表は、「新卒者を採用したのは、佐々木さんが初めて。これからラーメン店を営んでいくうえでの現実や厳しさも知っていくだろうが、子どものときから描いた夢をなくさないよう指導し、見守りたい」と話す。
 ラーメンの魅力を「作るときの湯切りや盛り付けの美しさなどで、お客さまを楽しませられること。お客さまがうれしいと、自分もうれしい」と語る佐々木さん。夢の実現に向けた第一歩を踏み出し、「東日本大震災からの復興に協力したいし、地元を離れたくない。店を出すなら、陸前高田市内にと考えている。修業はまだまだかかるだろうが、いつか、お客さまにうれしいと思ってもらえる店を持ちたい」と決意を誓う。