引退車両から臨時収入 「ランクル」330万円に 市の公用車 入札前から関心集める

▲ 約330万円で落札された「ランクル」。入札を終え、大切に保管されている

 大船渡市農林課が平成13年から業務で使用していた公用車「トヨタランドクルーザー70」が、一般競争入札の結果、約330万円で売却されることになった。市場で需要が高まる中、市では処分せずに初めて入札をかけたところ、最低売却価格の2倍以上に。厳しい財政下でもあり、うれしい臨時収入となった。(佐藤 壮)


 この公用車は、三陸町と合併する前の平成13年6月に登録。マニュアル車で、走行距離は約18万㌔だった。農林課によると、主に山間部の地籍調査や林業業務などを行う際の移動で用いられ、市内各地で走行した。
 使用から20年超が経過し、役目を終えることになったが、近年の「ランクル」人気を受け、入札を行うことにした。市が長期間にわたり使用した車両を一般競争入札にかけるのは近年なかった。
 最低売却価格は150万円(税抜き)と、車両の査定価格よりも高めに設定。先月から入札を周知したところ市内外に広まり、今月7日に開催した下見会には、県外を含む11個人・法人が訪れた。
 21日に入札が行われ、6個人・法人が参加。最低売却価格の2倍以上となる329万9998円で、秋田県で自動車販売業などを展開する法人が落札した。
 市農林課の佐藤雅基課長は「処分となれば、まったく収入にならなかった。予想以上の金額となり、ありがたい限り」と話す。
 人口減少が続き、市税収入も厳しさを増す中、市もさまざまな手段で歳入確保に当たっている。差し押さえ品を対象としたインターネットオークションへの参加はすでに定着し、ふるさと納税にも注力。少しでも上積みを図ろうと取り組む中での臨時収入となった。
 ちなみに、市では新たな「ランクル」の購入予定はない。地籍調査は外部委託している。また、現段階では、同程度の走行距離・使用期間に達した車両の売却予定もないという。