山林火災で約9㌶焼く 越喜来・首崎で26日に発生 火勢弱まるも警戒続く
令和6年5月28日付 1面

26日午前9時1分ごろ、大船渡市三陸町越喜来字烏頭地内の首崎灯台付近を航行中の船から「首崎付近から煙と炎が見える」と、大船渡消防署に複数の通報があった。27日午後4時現在、火のいきおいは弱まったものの鎮圧には至っておらず、28日も消火活動を行う予定。消防では焼損面積は少なくとも9㌶と推測。現場は集落から離れており、人的・物的被害は報告されていない。
現場は首崎西方に位置。北里大学海洋生命科学部附属三陸臨海教育研究センターからは東に約4㌔の市有林。首崎灯台はソーラー発電で稼働しており、周囲に電線はない。
一方で、周囲は燃えやすいスギが多く、26日の市内は午前10時から午後2時にかけて風速6~8㍍の風が吹いていたこともあり、延焼拡大した。市は同日午前10時23分に災害警戒本部を設置し、同センター駐車場に現地指揮本部を置いた。
同日は午前10時ごろから、県防災ヘリが空中から散水を開始した。現場は車両が入れない場所のため、地上からの消火作業は難航。大船渡消防署から38人と車両7台、市内の全消防団から232人と車両37台が出動した。倒木や落石のある細い林道で20台以上の車両を中継し、同センター付近の水利から現場まで約1000本、延長7㌔のホースを通す作業が続いた。
午後1時44分から地上での放水を開始。同5時30分にはジェットシューター隊も消火にあたったが鎮圧には至らず、同6時30分に消火活動を終了し、地元消防団が夜間の警戒を行った。
27日は午前4時30分から作業が進められたが、悪天候のため防災ヘリの出動は行われず、同8時ごろから車両43台、323人体制で陸上からの消火活動を展開した。
水利枯渇のおそれもあることから、市水道課と同市の㈱龍振鉱業から給水車、釜石市消防本部から水槽車がそれぞれ出動。このほか、大船渡市の社会福祉法人・成仁会や消防団後援会が消防団員らへ約600人分の食料を届けるなど、地元住民らも後方支援にあたった。
26日に海上から火災を発見し、通報した50代男性は「はじめ2カ所から煙が見え、飛び火したのか、だんだんと火が上がって燃え広がった様子だった。風の向きが変わって集落の方へ被害が出ないといいが」と不安そうな表情を見せた。
27日は午後4時をめどに、消火活動を打ち切った。市警戒本部などによると、ほぼ鎮圧状態にあり、けが人や家屋への延焼、周辺住民への影響は確認されていない。28日も活動を行う予定としている。