グリスロ「モビタ」が高評価 運営法人と市が大臣賞受賞 本年度で運行3年目 脱炭素や移動手段確保で導入

▲ 受賞を喜ぶ佐々木市長(左から2人目)や小出代表理事(同3人目)

 陸前高田市内で運行されているグリーンスローモビリティ(グリスロ)「モビタ」を通じた脱炭素の取り組みが評価され、同市の一般社団法人陸前高田グリーンスローモビリティ(小出浩平代表理事)と市は、「第14回EST交通環境大賞(EST普及推進委員会など主催)」の大賞である「環境大臣賞」を受賞した。環境に配慮すると同時に、高齢者の孤立防止や観光客の回遊性向上などの地域課題解消に向けて導入し、運行3年目を迎える。関係者は受賞を好機に、さらなる利用促進を目指す。(高橋 信)

 

明るいボディーカラーが目を引くモビタ

 同大賞はEST(環境的に持続可能な交通)の普及を目的に、地域の交通環境対策に関する取り組み事例を発掘・紹介しようと、平成21年度に創設。同委員会と公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が主催し、国交省、警察庁、環境省などが後援している。
 今回は大賞2件、優秀賞1件、奨励賞1件が選ばれ、今月中旬、東京都内で表彰式が行われた。28日は高田町の市役所で、佐々木拓市長や石渡史浩副市長、小出代表理事らが懇談し、受賞を喜び合いながら、今後の事業展開に向けて意見を交わした。
 グリスロは、時速20㌔未満で公道を走行可能な電動車を活用した小さな移動サービスを指す。国は、高齢化が進む地方などでの交通分野の課題解消、低炭素型モビリティー普及を図る手段として導入を推進している。
 陸前高田市は、東日本大震災後に整備された災害公営住宅の入居者の高齢化・孤立化、集客施設から中心市街地への観光誘客の促進を目的に導入を検討。令和元年度の試験運行、2年度の実証実験を経て、3年度に電動車2台を購入し、4年度に本格運行に乗り出した。市から車両の無償貸与を受けている陸前高田グリーンスローモビリティが運営を担っている。
 平日は災害公営住宅2団地と商業施設などを結ぶルートで運行。休日は観光客向けに、道の駅高田松原や商業施設「アバッセたかた」などを巡っている。震災後のまちづくりなどについてドライバーから説明を受けたり、ゆっくりと走る車内で景色と会話を楽しめたりするのが好評で、利用客数は4、5年度ともに年間4000人を超えている。
 小出代表理事は「大臣賞は非常に熱心に活動している地域のドライバーがいたからこそいただけたものと思っており、この栄誉をドライバーの方々にささげたい」と喜び、「受賞はゴールではなく、新たなスタート。脱炭素の取り組みをさらに推進していけるよう頑張る」と先を見据える。
 佐々木市長は「環境に優しいモビタが走行している光景はまちに明るい印象を与え、非常に良い。地域課題解消のため導入した取り組みが表彰を受け、定着に向けて弾みがつくものと、大変うれしく思う。市民や観光客にもっと利用してもらえるようPRしていきたい」と熱心に語った。