新施設のスタート好調 コロナ禍前の同期比で入洞者1000人増 滝観洞観光センター リニューアル後1カ月の実績

▲ 4月にリニューアルオープンした滝観洞観光センター。多くの観光客が訪れてにぎわいを見せている(今月3日)

 住田町上有住の観光地・滝観洞を管理する滝観洞観光センターは、リニューアルオープンから1カ月が経過した。この間の入洞者は3500人余で、新型コロナウイルス禍前の令和元年同期を1000人ほど上回る入り込みとなっている。新施設オープンの効果によって県内外から多くの観光客が訪れており、東日本大震災後としては最多の入洞者も見込めるペースで推移。関係者は今後も、積極的なPRを行って観光客を呼び込んでいく。(清水辰彦)


 滝観洞は全長3635㍍、高低差115㍍におよぶ国内屈指の鍾乳洞で、洞部にはライトアップされた鍾乳石が輝き、ダイナミックな造形の岩肌や地下水などによる神秘的な光景が続く。洞口から約880㍍地点には高さ約60㍍に及ぶドーム型の空間があり、その天井部の裂け目から落差29㍍の「天の岩戸の滝」が注ぐ。昭和41年に洞窟開きが行われて以来、滝観洞観光センターとともに、町が誇る観光資源として広く親しまれている。
 滝観洞周辺は、道幅が狭くカーブが連続するなど長らく交通の難所とされてきたが、平成20年に釜石花巻道路の「滝観洞インターチェンジ(IC)」が供用開始。この効果も手伝って、同年~22年の年間入洞者は1万人以上で推移した。
 東日本大震災以降は4桁台に落ち込んだが、31年3月には釜石花巻道路が全線開通して三陸沿岸道路とも接続し、内陸部だけでなく気仙両市からのアクセスも向上。令和元年の入洞者は1万1157人と伸びたが、新型ウイルスの影響によって同2年から4年までは1万人を大きく割り込んだ。5年は新型ウイルスの5類移行もあって、入洞者が前年を1600人ほど上回る約9800人にまで回復した。
 町では、滝観洞やその周辺の魅力的な環境づくりを通じて持続的な観光振興を実現することを目的として、滝観洞観光センターの受付棟など老朽化した関連施設の再整備計画案を令和2年度に作成。ハード・ソフト両面で段階的に整備を図っていくこととし、3年度に新施設の基本設計・実施設計が行われ、4年度に旧受付棟の解体が完了。昨年、新施設の工事が着工し、先月27日に待望のリニューアルオープンを迎えた。
 新施設は地場産の木材を積極的に使用し、2階建ての施設の1階には物販スペースや受付カウンターなど、2階には食堂や滝観洞の名物「滝流しそば」の体験スペース、テラスを整備。トイレは男・女に加え、オールジェンダー用も設けられている。
 新施設は、住田観光開発㈱が指定管理。同社によると、今月3~5日に新施設で開催された「滝に鯉(恋)まつり」には、3日間で1788人が来場した。その後も、平日は例年の120~130%ほどの入洞者があり、週末には多い日で約100人が訪れているという。
 6月には近隣市の小学校が学校行事で来訪する予約もあり、旅行会社の観光ツアーに滝観洞が組み込まれる予定となるなど、積極的な新施設の宣伝活動の成果もあって幅広く注目を集めている。
 震災後最多の入り込みは令和元年だが、今年はそれを上回るペース。同社では今年、年間入洞者の目標を1万4000人に設定しており、今後も勢いをキープし、書き入れ時である夏期間での入り込み次第では目標を達成する可能性も十分にある。
 同社の千葉孝文専務は「いいスタートを切ることができたので、繁忙期に向けてこの勢いを持続させながら、目標の1万4000人を達成したい」と話している。