被災地支援のあり方探る 復興推進委員会とワーキングG 釜石、大船渡両市を視察(別写真あり)

▲ 県栽培漁業協会の山口専務理事(左から2人目)から飼育施設の説明を受けるメンバーら

 復興庁の第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループ(座長・今村文彦東北大学災害科学国際研究所教授、構成員7人)および復興推進委員会(委員長・同)による岩手県訪問は29日、釜石、大船渡両市で行われた。東日本大震災から13年2カ月が経過した中、訪れた有識者らが被災者の心のケアや水産業の現状について意見を交わし、被災地が抱える課題、今後の復興支援のあり方を探った。
 同委員会は学識経験者や震災で被災した岩手、宮城、福島の各県知事、企業経営者ら15人で構成。同ワーキンググループは、第2期復興・創生期間(令和3~7年度)で実施されている施策の状況を確認するとともに、その効果を検証、総括し、8年度以降の支援のあり方を検討すべく発足した。
 同日は、ワーキンググループから今村座長、阿部博友氏(名古屋商科大学ビジネススクール教授)、石川永子氏(横浜市立大学国際教養学部都市学系准教授)、戸塚絵梨子氏(㈱パソナ東北創生代表取締役社長)に加え、同委員会の奥野雅子氏(岩手大学人文社会科学部教授)、山﨑登氏(国士舘大学防災・救急救助総合研究所教授)の6人が来県。釜石市の釜石地区合同庁舎では、八重樫幸治副知事やいわて被災者支援センターの山屋理恵センター長らが対応し、釜石中学校では校長やスクールカウンセラーらと意見を交換。被災者の心のケアや被災した子どもたちに対するきめ細かい支援を求める声に耳を傾けた。
 大船渡市では、末崎町の(一社)県栽培漁業協会(大井誠治会長)を訪れ、アワビの種苗生産施設を視察。同協会の山口浩史専務理事が、アワビの種苗を育てている水槽や種苗がついた飼育板を紹介し、出荷状況なども伝えた。
 その後の意見交換は、非公開で行われた。
 教育現場や産業の関係者らと意見を交わした今村座長は「心の悩みは、コロナ禍もあり、社会情勢が変化する中で減少せず、より複雑化している」「地球温暖化などの影響で、サケやサンマなど主要魚種の不漁が深刻な状況」と継続的な支援を求める声が聞かれたとし、「震災から13年以上が経過し、被災者の生活や社会基盤はかなり復旧復興し、目標が見えてきたが、心のケアや水産を含めた産業の問題はまだ見えない部分がある。しっかり取り組みを続けていきたい」と語った。
 同ワーキンググループでは今後、夏までに岩手、宮城、今年中に福島の中間報告を取りまとめる見通し。8年度以降の第3期も見据え、支援や施策の方向性を検討することとしている。