「進んでいる」最高の62・7% 県の復興意識調査結果 気仙含む沿岸南部は初の7割超え
令和6年5月31日付 1面

県は、今年1~2月に行った令和6年「東日本大震災津波からの復興に関する意識調査」の結果を公表した。県全体の復旧・復興の実感度に関し、「進んでいる・やや進んでいる」と答えた割合は全体で62・7%となり、平成24年の調査開始以降の最高値を更新。気仙両市を含む沿岸南部は70・8%で、初めて7割を超えた。また、居住する市町村の復旧・復興の実感度について、沿岸南部で「進んでいる・やや進んでいる」と答えた割合は63・3%となり、こちらも最高値となった。(三浦佳恵)
調査は、県の「復興推進プラン」に基づく施策や事業等に関して、県民がどの程度復旧・復興を実感しているかなどを把握し、復興に向けた取り組みの推進を図ろうと実施。平成24年から毎年1回行っている。
調査対象は、県内に住む18歳以上の男女5000人。▽全般的な復旧・復興の実感など▽具体的な(施策別の)復旧・復興の重要度・実感など▽震災津波の風化▽復旧・復興に向けた優先施策▽物価高騰の復興への影響──など8項目で調べた。
郵送で行い、回答者数は2722人(有効回収率54・4%)。地域別の内訳は沿岸部1225人(北部621人、南部604人)、内陸部1446人、県外12人、不明・無回答39人。
「県全体の復旧・復興の実感」について、全体では「進んでいる・やや進んでいる(以下、進んでいる)」が前回比1・6ポイント増加。「やや遅れている・遅れている(以下、遅れている)」は8・4%と同3・9ポイント減り、調査開始以降で最低を記録した。
地域別にみると、「進んでいる」は沿岸部が72・7%で、沿岸南部と同じ同5・7ポイント増加。内陸部の60・3%、沿岸北部の77・5%も前回調査を上回った。内陸部に比べて、沿岸部の実感度が高くなっている。
一方、「遅れている」は沿岸部が6・8%(同2・1ポイント減)、沿岸南部が8・1%(同2・1ポイント減)、沿岸北部が3・5%(同2・3ポイント減)、内陸部が8・8%(同4・3ポイント減)。いずれも一桁台まで低下し、過去最低を更新した。
「居住する市町村の復旧・復興の実感」の問いに対し、全体では「進んでいる」が46・8%(同0・2ポイント増)と最高を記録。「遅れている」は3・8%(同1・7ポイント減)と、これまでの最低値を塗り替えた。
沿岸南部は「進んでいる」が前回から2・3ポイント増加。一方、「遅れている」は12・7%(同0・1ポイント増)と、わずかだが増加に転じた。
気仙では今年3月末までに、被災した道路や防潮堤、漁港などハード面の復興事業が完了。目に見える形での復旧・復興の取り組みが一区切りとなった中、今後の実感度への影響が注視される。
「現在の生活への影響」について、沿岸南部では「影響を受けていない・あまり受けていない(以下、受けていない)」が45・3%(同4・9ポイント増)と3年ぶりに増加。一方、「影響を受けている・やや受けている」は33・9%(同4・9ポイント減)と、こちらは3年ぶりに前年を下回った。県全体、ほかの地域でも、「受けていない」が前年から増えた。
今回は、新たに「エネルギー価格・物価高騰の復興への影響」を質問した。県が復興を進めるための「より良い復興~4本の柱~(安全の確保、暮らしの再建、なりわいの再生、未来のための伝承・発信)」のもとに取り組む24項目の中から、影響が大きいとされるものを三つまで選んでもらった。
全体で回答が最も多かった項目は、「中小企業などの事業再開と経営力向上に向けた取り組みの支援」(24・4%)。次いで、「被災者の生活の安定と住環境の再建に向けた支援」(17・2%)、「産業の再生やものづくり産業などの振興」(14・8%)などとなった。
最多は沿岸、内陸ともに県全体と同様だったものの、沿岸は2位に「産地魚市場を核とした流通・加工体制の構築」(16・8%)が入った。全体、地域別にみても、上位には産業振興に関する項目が目立った。
県全体と沿岸南部の復旧・復興の実感に関する回答状況(過去5年間)は別表。調査結果は、県のホームページに掲載している。