国道343号の新笹ノ田トンネル整備目指す 期成同盟会が要望展開へ 総会で計画決める 県有識者会議の現状報告も

▲ 要望活動を展開していくことを決めた総会

 陸前高田市と一関市を結ぶ国道343号の笹ノ田峠の交通難所解消を目指す新笹ノ田トンネル整備促進期成同盟会(会長・小岩邦弘一関商工会議所会頭)は5月30日、一関市の大原市民センターで総会を開き、本年度もトンネル整備に向けて要望活動を展開していくことを決めた。新笹ノ田トンネルを巡っては、県が昨年トンネル整備の必要性や課題などを検討する有識者会議を立ち上げ、地元関係者は会議の行方を注視している。この日の総会後、県担当者が会議の検討状況を報告し、出席者はさらなる進展に期待を寄せながら説明を受けた。(高橋 信)


 同盟会の構成団体関係者約30人が出席。議事では、令和5年度事業報告や収支決算を認定し、6年度の事業計画、収支予算など4議案を原案通り決定。任期満了に伴う役員改選も行われ、会長には小岩会頭、副会長には伊東孝陸前高田商工会長と佐藤善仁一関市長が再任された。
 事業計画によると、本年度は例年同様、他の道路整備を求める団体との4団体合同で国、県などに要望活動を行う。早期事業化に向けた啓発活動も展開していく。
 笹ノ田峠は幅員が狭く、急峻な山道を越えなければならない地理的条件から交通の難所となっており、特にも冬期間は路面凍結などのため通行に支障を来している。三陸沿岸道路が全線開通し、沿岸の縦軸が整ったことから、地元では沿岸と内陸を結ぶ横軸整備による広域的な幹線道路ネットワークの構築を訴えている。
 こうした中、県は昨年、大学教授や県土整備部の関係者らで構成する「国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会」を設置。現道の課題について専門的な見地から対策の必要性、効果・技術的課題などの検討を行う組織で、これまでに2回会合が開かれた。
 この日の総会後、県南広域振興局一関土木センターの野崎弥所長が昨年9月にあった第2回会合の内容を報告した。
 野崎所長は、峠周辺で破砕帯など脆弱化した地質の分布が懸念されることや、冬期通行の安全確保、観光ルートとして期待される陸前高田─平泉間の距離の長さなど、現状の課題を説明。対策として▽信頼性の高い道路ネットワーク▽広域周遊観光に必要なアクセス性▽沿岸と内陸を結ぶ安全で円滑な交通──の確保を挙げ、これらにより防災力の強化や周遊観光の促進、地域間交流の活性化などの効果が期待されるとした。
 次回の会合では、整備方針案の検討と技術的課題の整理を行う予定で、検討の行方に関心が集まる。
 役員は次の通り。任期は2年。
 ▽会長=小岩邦弘(一関商工会議所会頭)
 ▽副会長=伊東孝(陸前高田商工会会長)佐藤善仁(一関市長)
 ▽理事=米谷春夫(大船渡商工会議所会頭)千田明夫(住田町商工会会長)髙橋幸喜(平泉商工会会長)菅原繁夫(前沢商工会会長)及川忠之(大東町自治会等連絡協議会会長)千葉昭博(東山町自治会連絡協議会会長)
 熊谷正文(陸前高田市観光物産協会会長)荒澤裕子(同市地域女性団体協議会会長)渕上清(大船渡市長)佐々木拓(陸前高田市長)倉成淳(奥州市長)青木幸保(平泉町長)
 ▽監事=鎌田卓也(奥州商工会議所会頭)神田謙一(住田町長)