「つっちぃ」見事日本一 国内最大のクジラ剥製に認定

▲ つっちぃを前に認定証を手にする熊谷主任学芸員

 陸前高田市高田町の市立博物館(菅野義則館長)のシンボルとなっているツチクジラの剥製「つっちぃ」が、国内最大のクジラの剥製として日本記録に認定された。非営利団体の「日本記録認定協会」が認定証を発行した。博物館関係者は東日本大震災の被災を乗り越え、復活した自慢の文化財に新たな称号が加わり、喜び合っている。           (高橋 信)

 認定証は5月末に届き、今後館内に掲示する予定。つっちぃの全長9・7㍍、重さ525㌔が協会の日本記録に登録された。
 つっちぃは千葉県白浜で捕獲されたメスの剥製。国立科学博物館での展示などを経て、平成6年から同市の「海と貝のミュージアム」に飾られた。
 同ミュージアム、市立博物館は震災で全壊。つっちぃは表面を覆うFRP(繊維強化プラスチック)コーティングが一部剥がれ、標本内部に約100㍑の海水が流れ込むなど損傷した。
 その後、国立科学博物館筑波研究施設に運ばれて修復。全身を覆っていたコーティングの左半身を取り除き、本来の表皮を見せることで生物的価値を高めた。
 市立博物館は同ミュージアムと一体的に整備され、令和4年11月に開館。国立科学博物館から戻ってきたつっちぃは常設展示室中央エリアにつるされている。
 開館後の来館者数は、近く累計10万人に達する見込み。大台突破に花を添えるかのようなタイミングで認定証が届き、学芸員らが歓喜している。
 博物館職員で唯一、震災前からつっちぃの管理に当たる熊谷賢主任学芸員は「これまでも『日本最大』をうたってきたが、協会に公式に認めていただき、大変うれしい。国立科学博物館をはじめ、レスキューに尽力していただいた関係者に改めて感謝している。より多くの人につっちぃを知っていただきたい」と話す。