高原も〝シーズンイン〟 種山で山開き 神事やハイキングなど(別写真あり)

▲ 神事後にはハイキングが行われた

 住田町や奥州市などにまたがる種山高原の山開きは2日、同高原の「星座の森」で行われた。神事やハイキングに加えて、郷土芸能などの催しも行われ、多くの人でにぎわった。夏の観光シーズン入りを迎え、キャンプや散策などでのさらなるにぎわいが期待される。
 北上高地の南西部に位置する種山高原は、物見山、大森山、立石などの総称で、東西11㌔、南北20㌔に及ぶ。緩やかな稜線の準平原地形と冷涼な気候から、藩政時代は馬の放牧地として利用された。
 宮沢賢治がこよなく愛したことでも知られ、風景や気象を題材に童話『風の又三郎』『種山ヶ原』などを残した。賢治作品の源泉となった岩手の自然景観「イーハトーブの風景地」の一つとして、物見山も国の史跡名勝天然記念物に指定されている。
 山開きは、住田町と奥州市で構成する種山高原観光協会(会長・及川久美子奥州市江刺総合支所地域支援グループ長)が主催。自然を生かした憩いの場、観光地が整備された種山の発信などを図ろうと開催している。
 この日は両市町の行政や観光、商工団体関係者ら10人余が出席して神事が執り行われ、シーズン中の安全を祈願した。
 神事のあと、及川会長は「今後も、大事に育まれている種山高原を守っていきたい」とあいさつ。来賓の菅野博典県議(奥州選挙区)や佐々木春一住田町議会議長も祝辞で、種山の観光振興へ期待を込めた。
 神事後、住田町のすみた森の案内人の会(吉田洋一代表)がガイドしたハイキングでは、高原に霧が立ちこめる幻想的な光景が広がる中、県内外からの参加者が物見山の山頂を目指して歩いた。
 2年ぶりにハイキングに参加したという西條勝枝さん(61)=気仙沼市=は「(山登りの)距離もちょうどいいし、景色もすごくいい。今年も自然を満喫しながら歩きたい」と、友人とともに心ゆくまで散策を楽しんでいた。
 山開き会場となった「星座の森」ではこの日、両市町の団体による踊りや芸能披露、参加型アトラクション、福引餅まきなども行われた。
 種山高原の山開きは令和2年、3年は新型コロナウイルスの影響により神事のみ、4年はやや規模を縮小して行われ、昨年から通常開催に戻った。
 事務局によると、この日の来場者数は約150人だった。天候の影響もあって、昨年の半分ほどにとどまった。