来館者100万人を達成 東日本大震災津波伝承館 開館から4年8カ月で(別写真あり)

▲ 東日本大震災津波伝承館の来館者数が100万人目となり、大友さん(中央)に記念品などを贈呈

 陸前高田市気仙町にある東日本大震災津波伝承館(館長・達増拓也知事)の来館者が2日、累計100万人に達した。同館では100万人目の来館者に記念品を贈ってこれまでの利用に感謝し、引き続き震災の事実と教訓、復興支援への感謝を発信しながら防災力向上に貢献していくと誓いを込めた。
 100万人目となったのは、大友信作さん(97)、静子さん(91)夫妻=宮城県気仙沼市=と、孫の小山美波さん(35)=同富谷市。同日午前11時すぎに来館し、早坂寛副館長と隣接する道の駅「高田松原」を運営する㈱高田松原の熊谷正文社長から、特産品などの記念品が贈られた。
 大友さんは高田町出身。震災では町内にあった実家が被災し、親戚3人が犠牲になった。年に何度か陸前高田を訪れ、伝承館に立ち寄ることもあるという。
 「伝承館には4、5回来ている。何度見ても飽きるというものではなく、目に焼き付いている展示もある」と大友さん。記念すべき100万人目に「こういう経験は初めてで、ありがたい気持ち。最高の日になった」と感慨深げに語った。
 初めて来館した美波さんは、「震災のことを知っておかなければならないと思っており、一度は足を運びたかった場所。来られてよかった」と話した。
 同館は、震災の事実や教訓などを発信する施設として高田松原津波復興祈念公園内に県が整備し、令和元年9月22日にオープン。累計来館者数は2年1月に10万人、4年4月には50万人に達した。
 昨年は、新型コロナウイルスの5類移行や同公園で開かれた全国植樹祭で注目を集めたことなどにより、国内外からの来館者数が増加。開館から4年8カ月で100万人を達成した。
 早坂副館長は多くの来館に改めて感謝し、「災害を経験された方々の思いを引き継ぎ、伝えていく使命がある。これからを担う震災を知らない子どもたちが、自分に何ができるかを考える機会にもしていきたい」と気持ちを新たにする。
 達増知事は「震災を乗り越えて進む姿を支援への感謝と共に発信しながら、国内のみならず、世界と震災の事実や教訓を共有し、防災力向上への貢献を目指して取り組んでいく」と話している。(三浦佳恵)