「地元志向」減少の傾向 就職希望者は前年度上回る 大船渡職安 来春の新規高卒予定者対象 求人受け付けがスタート

▲ 大船渡職安でもオンラインなどで来春の新規高卒予定者を対象とした求人受け付けがスタート

 令和7年3月の新規高校卒業予定者を対象とする事業所の求人受け付けは3日、全国の公共職業安定所で一斉に始まった。大船渡職安(小野寺豊所長)でも、各企業がオンラインなどで求人票を提出し、地域産業を支える若い働き手の確保に期待を込めた。同職安によると、来春高卒予定者のうち、就職希望者は前年度を上回った一方、新型コロナウイルスの5類移行もあって県外での就職を望む生徒が増え、近年続いた「地元志向」が減少傾向にあるという。同職安では7月1日(月)からの公開を前に、各企業に対して早めの求人票提出を呼びかけている。(三浦佳恵)

 

 新規高卒予定者向けの求人受付開始日は、平成29年以降6月1日となっている。今年は1日が土曜日だったため、実質3日に始まった。
 同職安が同日午後4時までに受け付けた新規高卒予定者対象の求人数は13社17件35人で、前年の13社14件30人を3件5人上回った。同職安が4月から5月中旬に行った採用意向調査(管内対象500社のうち219社回答)では、「求人票の提出見込みあり」と答えたのが56社で、求人数は125人だった。
 新型ウイルスの流行以降、職安では感染防止策も兼ねて各企業に「ハローワークインターネットサービス」によるオンラインでの求人手続きを推奨。時間を問わず、求人票の更新作業もしやすいとあって、同職安管内では現在550社が登録し、オンラインでの申請が定着してきた。1日に新規高卒予定者向けの求人手続きを済ませた企業も数件あったという。
 大船渡市大船渡町のサンコー食品㈱(小濱健代表取締役、従業員38人)では、3日にオンラインで求人票を提出。水産加工を手がける同社では、生産管理、生産スタッフ、鮮魚バイヤー、機械メンテナンスの各分野で1人ずつ、計4人の採用を計画する。
 小濱代表取締役は「近年は安定的に新卒者を採用できている。仕事の価値やこの地で暮らす意味を共有でき、会社、地域、家族のために働いていると感じてもらえれば。新卒者から70代までの幅広い世代が、一緒に活躍できる職場環境づくりに努めたい」と話し、求人公開後は学校に積極的にアピールしていく考えを示した。
 同職安が5月15日現在でまとめた求職動向調査結果によると、管内の新規高卒予定者数は379人で、今春卒業者より8人多い。このうち就職希望者は86人と4年連続で100人を割ったものの、今春の就職者数に比べて8人増えた。
 卒業予定者に占める就職希望者の割合は22・7%と、前年から2・1ポイント増加。就職希望者のうち、管内を望んでいるのは33人と、割合は前年を12・2ポイント下回る38・4%にとどまった。一方で、県外希望者は33人と前年比12・4ポイント増の38・4%となり、管内を除く県内希望者や未定は20人(23・2%)だった。
 近年は新型ウイルスの影響もあり、管内での就職を希望する「地元志向」が多い傾向が続いていたが、今年は県外が増加。全国的な人手不足の中で、こうした動きが管内企業の人材確保にどう影響するかが注視される。
 同職安の佐藤貞治統括職業指導官は「大学生の動向を見ても、県外の企業が人材の獲得に向けて動いている状況であり、おそらく高校生も同様になるのではないか。管内企業が人材を確保して、地元に残りたい生徒が働けるようにするためにも、7月1日までには求人票を提出し、求人公開に合わせて各高校にアピールができるようにしてほしい」と呼びかけている。
 求人票の提出に当たり、同職安では各企業に対し、履歴書の作成方法に関する記載と、求人票に明示する労働条件の追加(従事する業務や就業場所を変更する場合の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準)を忘れないよう周知している。
 新規高卒予定者の選考と採用内定は、9月16日(月)からとなる。