新たな〝夏の味〟味わって 酔仙酒造が新商品「純米うすにごり雪っこ」 あすから順次店頭販売へ
令和6年6月9日付 7面

陸前高田市の酔仙酒造㈱(金野連代表取締役社長)は、夏場向けの新商品「純米うすにごり雪っこ」を開発した。同社が冬季限定で販売する主力商品「活性原酒雪っこ」から名付け、同商品に比べてアルコール度数や甘さ、うまみの強さをバランス良く抑えつつ、暑い夏にぴったりのすっきりと爽やかな飲み口に仕上げた。同社の夏季限定商品の誕生は、東日本大震災後初めてになるといい、10日(月)から順次店頭に並ぶ予定。同社では新たな〝夏の味〟として、「よく冷やして、夏の暑いときに味わってほしい」と話している。(三浦佳恵)
「活性原酒雪っこ」は、昭和45年に誕生。とろっとした口当たりで、米の強い甘みとうまみが感じられる商品であり、毎年10月から3月の冬期間に販売される。気仙を代表する〝冬の味〟として、半世紀以上にわたって親しまれている。
こうした中、「暑い夏場向けに新たな商品を」と、「活性原酒雪っこ」と同じ国産の米とこうじを原材料に、2種類の酵母を組み合わせて新しい純米酒を開発。精米歩合は70%で、しぼりたての純米酒のもろみ(にごり部分)をあえて残し、米由来のうまみや酸味を残しながらも、爽やかですっきりとした飲み口に仕上げた。
活性原酒はアルコール分が20%あり、甘みやうまみがかなり強い。一方、誕生したうすにごりはアルコール分16%。甘みなどはバランスを保ちつつも全体的に抑えめにしてあり、暑い夏でも飲みやすいのが特徴だ。
商品名には、長年にわたって愛されている「雪っこ」を用いた。ラベルに使用したロゴ、かわいらしく懐かしさあふれる〝雪ん子〟の絵柄は活性原酒と同じだが、うすにごりは箔押しのグリーンカラーにし、酒の爽やかで軽やかなイメージを表現。涼やかさも感じられるデザインとなっている。
取締役杜氏の金野泰明さん(48)は、「飲みやすさを考えたアルコール度数とにごり具合にし、飲むときに大事な香りの質にもこだわった。ストレートでも、氷を入れたロックでも飲めるぐらいの濃さを意識してレシピを作っている。それが狙い通りに決まった」と、新商品の開発を振り返る。
すっきりと爽やかな飲み口であることから、夏野菜の素揚げや天ぷら、冷ややっこ、白身魚の刺身、貝類などとの相性がいいという。にごりが沈殿した状態で、上澄みやにごりの部分を分けて飲んでも、味の違いが楽しめるとしている。
金野さんは、「夏の暑いときにこそ飲んでほしいお酒。飲むときには冷蔵庫できっちり冷やし、ぜひ旬の食材と一緒に楽しんでほしい」と話している。
「純米うすにごり雪っこ」は、県内を中心とする東日本エリアで、9月末までに720㍉瓶約6000本、300㍉瓶約1万本を出荷する計画。価格は720㍉税込み1430円、300㍉が同605円。県内では、10日から酒販店やスーパーなどに順次並ぶ見通しだ。