一般家庭向け電力供給開始 子育て、進学応援プランも用意 しみんエネルギー㈱ きょうから申し込み受け付け

 陸前高田市の地域電力会社・陸前高田しみんエネルギー㈱(小出浩平代表取締役社長)は12日、一般家庭向けに電力を供給するサービスの申し込み受け付けを始める。市内の子育て世帯や進学のため地元を離れる市出身の学生らを対象とするお得なプランも用意。これまで市内公共施設や法人のみだった供給の対象を拡大し、売り上げの一部は市内を走る電動バスの運行費に還元するなど地域活性化につなげる。(高橋 信)

 

 オール電化住宅を除く一般家庭向け(従量電灯B)の料金プランは、▽標準▽子育てスタート応援▽進学応援──の三つ。
 このうち、標準プラン(別表)は、10~60Aの7段階の契約容量で決まる「基本料金」と、使用電力量に応じた「電力量料金」、燃料費調整額(燃調費)、再生可能エネルギー発電促進賦課金の合計額を毎月徴収する。ただし燃料価格の変動に連動して上下する「燃調費」は社会情勢などによってプラス調整されるリスクもあることから、予期せぬ変動で家計に影響が生じないよう、年間を通じて実質ゼロ円に設定している。
 子育て応援プランは、3歳未満の子どもがいる市内世帯向け。毎月の基本料金を無料とし、年間で最大2万3760円お得に利用できる。子どもが3歳になれば標準プランに切り替わる。
 進学応援プランは、大学や専門学校などに進学する市出身、または県立高田高を卒業した学生を対象とする。実家が同社の標準プランを契約しているのが条件で、学生の電気料の基本料金を在学中に限り無料にする。
 同社は市の出資を受け、令和元年6月に設立。▽電力供給▽再生可能エネルギー導入促進▽売電の利益を魅力ある地域づくりに活用──を事業の柱に据えている。
 同年秋から市内にある高圧の公共施設への電力供給を順次開始し、現在、すべての施設の電力を賄っている。民間事業者など法人向けの提供も実施。次なる展開として一般家庭向けの提供を見据えていたが、国際情勢やエネルギー市場の変動で電気代が高騰したため、安定的な価格でサービスを展開できるまで開始時期を延ばした。
 売電の一部利益は、市内を走る電動車のグリーンスローモビリティ「モビタ」の運行経費に充当するなど、地域の取り組みを応援する。太陽光発電など地域内で生んだ電力で需要を賄うエネルギーの地産地消を推進しており、昨年12月時点で全体の電源のうち、再エネ電力が11%を占める。
 同社の大林孝典事業推進部長(40)は「普段使っている電力を使って次世代を応援するという支え合いの文化を、子育て応援と進学応援のプランを通じてつくっていきたい。電気に関することは分かりづらい。今後、説明会などを行って地域電力会社の存在を知ってもらい、徐々に利用を広げていきたい」と見据える。
 個人向けの料金など詳細は、同社ウェブサイトに掲載している。問い合わせは、同社(℡47・4102)へ。