山車飾るアザフ作り始まる 8月7日のけんか七夕向け(別写真あり)

▲ アザフ作りに励む住民

 およそ900年続くとされ、毎年8月7日に開かれる陸前高田市気仙町今泉地区の伝統行事「けんか七夕」に向け、山車に飾り付けるアザフ作りが始まった。甚大な津波被害を受けた東日本大震災後、限られた人数の地元有志が毎年手分けして続けてきた作業だが、2年前から地区内に住宅再建した住民らも加わるようになった。祭りの主催組織は作業への協力を呼びかけている。(高橋 信)

 

 和紙を1枚ずつ折って作るアザフ。制作は10日夜、今泉地区コミュニティセンターで始まった。
 11日は約20人が集い、和気あいあいと作業。震災後初めて参加したという地元の70代女性は「震災前は公民館でみんな集まり、やっていた。久しぶりで懐かしい。これからも可能な限り参加して協力したい」と会話を弾ませながら手を動かした。
 集会室には若い世代の姿も。同町の大谷蓮斗さん(24)は「進学や就職で大半が一度地元を離れるため若い人は減り、準備作業が大変だ。ただ、七夕は絶対終わらせてはならない。微力ではあるが、力になりたい」と熱心に話した。
 震災が起きるまでは地区内の四つの町内会が山車を1基ずつ作り、山車同士を激突させる「けんか」を繰り広げてきた。
 各町内会は公民館などに集まり、住民総出でアザフ作りや山車の組み立てに取り組むのが七夕本番に向けた習わしだったが、震災で民家とともに集会施設が流されたため途絶えた。震災後は、祭りを中断させまいと地元有志が発足させた「気仙町けんか七夕祭り保存連合会」(佐々木冨寿夫会長)が作業を担ってきた。
 約600戸あった地区の民家はほとんどが被災し、被災者は市内外に散り散りになったが、地区高台などへの住宅再建に伴い、コミュニティー再構築が進展。すべて解散した町内会は、今年5月現在で新たに五つが結成され、連合会はこうした復旧・復興の進ちょくを踏まえ、2年前からアザフ作りに協力してもらうよう住民に呼びかけることとした。
 連合会役員は「震災前のように町内会などが運営し、山車の絢爛さや本番のけんかの勝敗を競うのが本来の姿。アザフ作りがかつての作業風景に戻り、こうした一つ一つを積み重ねて少しずつ以前のような運営体制になればいい」と、うなずいた。
 アザフ作りは月〜金曜日午後7時から今泉地区コミセンで行い、誰でも参加できる。また、山車製作に不可欠なフジのつるを大量に切り出せる場所や提供者の情報も求めている。
 問い合わせは、連合会事務局の村上大介さん(℡090・4889・2155)へ。