二又地区3施設集約化へ コミセン、国保診療所、消防屯所 市が方針決める 旧矢作小の解体跡地に

▲ 解体工事を控える旧矢作小校舎。撤去後の跡地には造成工事を経て、コミセンなどの3施設が移転新築される見通し

 陸前高田市は本年度解体・撤去する矢作町二又地区の簡易宿泊施設、旧二又復興交流センター(旧矢作小学校)の跡地に、周辺にある3公共施設を移転新築し、集約する方針を決めた。コミュニティセンター、市国保二又診療所、市消防団矢作分団1部屯所の三つ。いずれも地区にとって不可欠な施設である一方、アクセスが不便な場所に立地しているため、地元側は往来が容易になる小学校跡地への移転を要望していた。令和7年度に土地の造成工事を行い、8年度以降、施設整備に入る見通しだ。(高橋 信)

 

8年度以降整備の見通し

 

 旧矢作小校舎は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積は1832平方㍍。鉄骨造平屋建ての体育館(480平方㍍)を含む解体費は2億4068万円を見込み、秋以降の工事を予定している。
 校舎敷地の一部は土砂災害の特別警戒区域に指定されているため、本年度は区域解消を目的とする造成工事の測量調査設計も行う。7年度に造成工事を行い、8年度から跡地を利活用できる。
 旧校舎周辺にあるコミセン、診療所、消防屯所の現施設はいずれも細い道路の先にあり、交通アクセスの悪さを指摘する声があった。矢作地区コミュニティ推進協議会(佐々木公一会長)は市に対し、3施設の校舎跡地への移転を要望しており、市は地域の意向を踏まえて集約化を決めた。
 市では震災後、被災者の生活再建やなりわいの再生をはじめとする復旧・復興事業が最優先課題となり、市予算の配分は必然的に津波の被災地域に集中した。
 大規模に展開されたハード分野の復旧事業は令和4年12月、気仙町の旧吉田家住宅主屋を除いて完了。主要施策の軸足は震災復旧から持続的なまちづくりにシフト。今回の二又地区に加え、本年度は横田地区コミュニティセンター(昭和56年建築)の大規模改修に向けた設計業務委託も計画しており、内陸部のてこ入れにいよいよ入る。
 集約化の方針を受け、佐々木会長は「大変ありがたいこと。コミセンまでの坂道が急で、行きたいけど行けないという高齢者もいた。国道そばの学校跡地に移転されれば、利便性が大きく増し、地域活性化にもつながる」と期待する。
 旧矢作小校舎を活用し、市が整備した二又復興交流センターは平成25年7月に開所。国の復興交付金を含む約1億4000万円を投じ、団体利用を想定した大部屋や交流室など、最大約70人を収容できる応急的な宿泊・交流拠点を整えた。被災した宿泊施設の再建などに伴い役目を果たし、令和2年度末に閉所。利用者数は通算で約2万3000人だった。
 市財政課の小野寺一典課長は「地元から公共施設の集約化にかかる要望を受けており、かねて庁内でも検討してきた。限られた財源の中で地域の声に可能な限り応えられるよう、引き続き、より良い形を模索していきたい」と見据える。