〝挑戦してみたい〟を支える場に 高田町の「ヤドカリ」にいわて若者カフェの連携拠点 県が利用・相談を呼びかけ

▲ いわて若者カフェの連携拠点であるコワーキングスペース「ヤドカリ」。カフェマスターの山本さんが若者からの相談などに応じる

 県は、何かにチャレンジしてみたい若者が気軽に訪問し、先輩や同世代と相談・交流ができる場所を提供する「いわて若者カフェ」の連携拠点を設置している。気仙3市町を含む沿岸南部の連携拠点は、陸前高田市高田町のコワーキングスペース「ヤドカリ」に設けられ、一般社団法人トナリノの職員・山本健太さん(39)が県から委嘱された「カフェマスター」として、〝何かに挑戦してみたい〟という若者たちをサポートする。県では「連携拠点を若者の交流の場として活用してもらい、活動を応援していきたい」として、気軽な利用や相談を呼びかけている。(三浦佳恵)

 

 県は、若者同士の交流を一層促進し、主体的な活動を発信する場として、平成29年に盛岡市の県公会堂地下に「いわて若者カフェ」を設置。相談体制の整備、意欲を生み出すイベントの開催などを通じ、若者の挑戦や自己実現を後押ししている。
 令和4年度には、同カフェを核とした若者支援体制を全県に波及させようと、陸前高田、一関、宮古、久慈の4カ所に連携拠点を設置。また、地域づくりや起業、ITなどのさまざまな分野で活躍する県内の人材をカフェマスターに委嘱し、若者たちの活動を支援している。
 連携拠点を設置して3年目となった本年度、県は取り組みを拡充、強化することとし、カフェマスターには県内の10人を委嘱。より多くの若者が同カフェや連携拠点の存在を知り、地域をけん引する人材育成が図られるよう、情報発信、イベントの開催などにも力を入れていくこととなった。
 沿岸南部の連携拠点であるヤドカリはトナリノが運営しており、カフェスペースやキッズスペース、会議室も備えたコワーキングスペースとして、日頃から世代を超えた人々の利用がある。若者カフェの活動としてはこれまで、主に高校生以下を対象に、市内学校の職場体験受け入れといったキャリア教育支援、中高生が発案したイベントのサポートなどを進めてきた。
 カフェマスターの山本さんは、ICT(情報通信技術)や地域づくり分野の知識が豊富。委嘱は昨年度に続く2年目で、「地域で活動する若者が学び、可能性を広げていく手助けをしたい」と意気込む。
 本年度、山本さんは新たに、事業を企画する中高生らが自分たちで助成金を申請するために必要なノウハウを支援。書類作成や出納帳の書き方などをアドバイスし、生徒らが主体的になって事業を実現できるようサポートする。ほかに、組織づくりに関する若者向けの研修開催なども見据える。
 今月29日(土)には、地元の若者地域貢献グループFACE─rikuzentakataが同町内で開く「やってみたいことを大人にぶつけられる会」にも協力。県やほかの連携拠点、カフェマスター同士のつながりも一層強化し、相談内容などに合った分野のカフェマスターを仲介するといった、これまでの活動も継続する。
 山本さんは「若者が自分の可能性を広げられるよう努力していきたい。やってみたいことがあるが、どこに相談したらいいか分からないなど、小さなことでもいいので気軽に相談してほしい」と、気仙各地からの利用を呼びかけている。
 ヤドカリは、平日の午前9時~午後6時に開設しており、日帰りでの利用は無料。土・日・祝日は事前予約が必要。利用、相談の問い合わせはトナリノ(℡47・3287)へ。