2市の〝友情の証し〟に対面 クレセントCの高校生ら 博物館で「かもめ」など見学 姉妹都市・陸前高田に滞在中(別写真あり)

▲ 11年前にクレセントシティ市へ漂着し、現在は陸前高田市立博物館に展示される「かもめ」と対面した生徒と教員

 県立高田高校の姉妹校である米国カリフォルニア州・デルノーテ高校(デルノーテ郡クレセントシティ市)の高校生たちが現在、陸前高田市へ短期留学に訪れている。生徒らは28日(金)まで市内にホームステイしながら高田高校で学習するほか、中学生や一般市民らとも交流。22日には高田町の市立博物館を訪れ、クレセントシティ市の姉妹都市である陸前高田市の文化や自然、産業について学ぶとともに、両校が友情を結ぶ発端となった高田高校の実習船「かもめ」とも〝対面〟を果たした。(鈴木英里)

 

 陸前高田市に滞在しているのは、今月デルノーテ高校を卒業したばかりで、秋に大学進学などを控えた女子生徒4人と教員2人の計6人。4人は高校在学中、同校の「ジャパン・クラブ」に所属し、同市訪問を熱望していたという。
 22日は箱根山や気仙大工左官伝承館を見学した後、市立博物館を訪問。同市国際連携シニアアドバイザー・村上清さんの案内を受け、被災文化財を修復する様子や、東日本大震災の津波被害を受けたツチクジラの剥製「つっちぃ」などを目にした生徒たちは、大津波からの復興の歩みに理解を深め、自然環境や産業面で両市の間に共通点があることも発見した。
 また同館では、発災2年後の平成25年4月にクレセントシティの浜辺へ漂着し、当時のデルノーテ高校生らの尽力によって高田高校へ返還された「かもめ」の現物と対面。この時のことをモチーフにして造られた同館設置のタイルアートと併せ、〝きっかけの物語〟にも触れた。
 村上さんは、「『かもめ』が私たちのまちへたどり着いたのは、偶然ではなく必然だった」というクレセントシティのブレイク・インスコア市長の言葉を紹介。かもめが結んだ縁を、二つの地域がどのように深めてきたかを振り返るとともに「このボートは二つの市だけでなく、二つの国も結びつけてくれている」と呼びかけ、生徒たちもその言葉に深くうなずいた。
 ステファニー・カルテさんは、「姉妹都市になるきっかけをつくった船を見ることができてとても光栄。私たちの友情がずっと続くよう、高田高校では新しい関係を築くつもり。二つの市の自然はよく似ている。ほかにはどんなところが似ているか知りたい」と意気込んだ。
 一行は19日夜に到着し、20日は高田第一中学校、21日は高田東中学校でも授業や給食を体験した。高田高校に短期留学するデルノーテ高生が中学校も訪れる試みは昨年試験的に行われ、今回初めて本格化。これには、交流の枠を高校生同士にとどめず、市内の子どもたちにもクレセントシティ市や姉妹校関係について興味を持ってもらおうという狙いがある。
 23日には陸前高田の有志らで構成される「クレセントシティ友好の会」(大林孝典会長)や横田町の女性たちが、市民同士の関係をさらに深めるためにそれぞれ歓迎行事を開く。