販売力強化へ官民動き活発 道の駅高田松原  市…専門家招へいしノウハウ学ぶ方針 市民有志…勉強会開催しアイデア探る

▲ 18日に開かれた陸前高田の観光を考える若手の勉強会

 陸前高田市内で随一の集客力を誇る気仙町の道の駅高田松原の販売力強化に向けた動きが、官民で活発化している。市は専門家から販売・マーケティングのノウハウを学ぶべく、外部アドバイザーの招へい費を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を開会中の市議会定例会に提出している。観光・宿泊業などに携わる若手の市民有志は今月勉強会を開き、道の駅の売り上げ増へアイデアを出し合った。東日本大震災を経て生まれ変わった道の駅の魅力を磨き上げ、市全体の観光振興や経済活性化につなげようと、関係者が躍起になっている。(高橋 信)

 

 「道の駅における飲食、物販の販売力の強化が、観光振興、市内経済の活性化へ最も重要と認識している」。
 19日に行われた市議会定例会一般質問の答弁で、市地域振興部の村上知幸次長が、このように述べた。
 市は総務省が手掛ける外部専門家の招へい制度を活用しようと、今定例会に関連費560万円を盛り込んだ補正予算案を提出。原案通り可決されれば、来月以降、アドバイザーを交えた検討が始まる見通しだ。
 一方、市内の20~40代を中心とする有志でつくる「陸前高田の観光を考える若手の勉強会」は、18日に開かれた。参加者約20人が「道の駅高田松原を核とした地域連携、観光産業の活性化」をテーマに協議した。
 参加者の一人は「観光客から『道の駅で何を買えばいいの』と聞かれた時に即答できないところもある。迷わずに勧められる地元の一押しがあるといい」と発言。目玉となる土産品や飲食、求められるサービス、道の駅来場者の市内周遊策などについて熱心に意見を交わした。
 同市の令和5年度観光入込客数は、震災後最多の約135万人(市調べ)で、震災前の水準に戻った。地域資源を生かし、外から人を呼び込む力はまちの強みだが、「通過型観光」からの脱却という従前からの課題を解消しきれずにいる。
 市観光物産協会(熊谷正文会長)が昨年5月、道の駅が入る高田松原津波復興祈念公園の来園者向けに実施したアンケート調査結果(330人回答)によると、同市での滞在時間は「1時間」「2、3時間」と回答したのが全体の72・8%を占めた。「半日」「1泊」「2泊以上」はいずれも1割前後で、滞在時間の短さが浮き彫りとなった。
 立ち寄った場所(複数回答可)の設問では、祈念公園内の「震災津波伝承館」と「奇跡の一本松や震災遺構」が、それぞれ全体の6~7割に上ったが、園外の商業施設や観光施設はいずれも少数で、一番多かったのが高田町のアバッセたかた(11・1%)だった。来園者にとって同園以外は目的地化されていない傾向がうかがえる。
 令和元年9月に再建・開業した道の駅高田松原の来場者数は、年内にも累計300万人を突破する見通し。この堅調な集客力を伸ばして売り上げ増を図り、さらに来場者を中心市街地などに誘導することが、通過観光客の滞留、観光消費増につながるため、官民における今後の妙策に期待が高まる。
 村上地域振興部次長は「道の駅の指定管理者や出店事業者がワンチームとなり、さらに素晴らしい施設となるよう後方支援したい。若い世代の有志にも熱心に検討してもらっており、失敗を恐れずにさまざまな取り組みにトライしてほしい」と語る。