医療、防災など充実強化を 対県要望11項目まとめる
令和6年6月25日付 1面

住田町は、7月11日(木)に予定している本年度対県要望の項目をまとめた。昨年度から1件減の11項目で、いずれも継続要望。県立大船渡病院附属住田地域診療センターの医療体制の充実と連携強化、県道や国道の整備促進、近年、被害が拡大している鳥獣被害対策、防災強化など、幅広い分野の地域課題解決に向けて要望を行う。(清水辰彦)
次年度予算編成作業のスタートを前に行う対県要望は、東日本大震災の影響で見合わせた平成23年度を除き、毎年実施している。本年度の要望は大船渡市猪川町の県大船渡地区合同庁舎で行い、町長や町議会議長、地元選出県議らが臨む予定。
本年度要望項目のうち、「住田地域診療センターの医療体制充実と連携強化」では、医師3人確保、往診の実施と訪問診療の充実、災害時における保健・医療・介護連携体制構築、外来診療の利便性向上、遠隔診療の拡充を求める。
住田町では、平成21年に県立大船渡病院附属住田地域診療センターが無床化となったことで、町内に入院できる施設がなくなった。令和2年には、それまでの医師3人体制が2人体制となった。
また、町内には現在、開業医が不在となっている。在宅療養者に対して訪問看護や訪問介護などを提供できる体制はあっても、往診がなければ町外に入院せざるを得ず、在宅での最期を希望してもかなえることが難しい環境にある。人口が少ないだけに、入院が長期化すれば町の医療費が高騰するなど、さまざまな課題に直面している。
町では医療資源が限られる中、住み慣れた地域で暮らし続ける環境づくりを目指し、昨年度に関係機関の参画のもとで「住田町の在宅医療等のあり方検討会」を設置して在宅医療推進に取り組んでいる。
今後、デジタル技術なども活用しながら中山間地域での医療資源不足解消の取り組みを診療センターとともに構築し、それが「モデル」となって県内全体に広がるよう取り組んでいくために、要望項目の実現を求める。
「鳥獣被害対策強化」の要望は、捕獲と被害対策に関するもの。近年、ニホンジカやクマ、イノシシなどによる鳥獣被害が町全域に拡大し、農林業に大きな影響を及ぼしている。
特にニホンザルは、令和3年度と5年度の状況を比較すると、農地や庭先への出没通報件数が52件から113件に、農業被害面積は0・5㌶から2・5㌶に増大。被害額は約50万円から約360万円にまで増えている。
こうした中、県から国に対して緊急捕獲活動支援事業の要望予算額の早期確保に向けた働きかけや、県主導による市町村境での一斉捕獲実施体制構築などの取り組みの実施、有害捕獲に従事する狩猟者の免許取得にかかる助成事業創設などを提案する。
「一般県道釜石住田線他3路線および国道107号他2路線の整備促進」では、一般県道上有住日頃市線(通称・六郎峠)の改良整備などに加え、国道107号、397号、340号の改良整備も訴える。
「県立住田高校の存続」については、今年4月に県教育委員会から示された「県立高等学校教育の在り方」中間まとめ案において、最低規模は1学年2学級とし、特例校(1学年1学級を最低規模とする学校)の例外配置を検討するとされたことを受け、地域における学びの機会の保障に加え、「地方創生推進の担い手の育成基盤の確保」を特例校の配置要件とするなど、同校存続への配慮を求めていく。
対県要望項目は別表の通り。