「大船渡サーモン」今季初出荷 盛川漁協 ブランド名変え認知度向上へ 8月中旬まで3500匹見込む(別写真あり)

▲ 新たな名前で初出荷を迎えた「大船渡サーモン」

 大船渡市の盛川漁業協同組合(佐藤由也組合長)は27日朝、猪川町内の養殖施設で育てたトラウトサーモン「大船渡サーモン」を、市魚市場に今季初出荷した。本年度は、施設に入れる数を減らし、1匹当たりの魚体をより大きく育成。昨年度までのブランド名も改め、市内をはじめ広く認知度向上を図る。出荷は8月中旬まで3500匹を見込んでいる。(菅野弘大)

 

 同日は午前4時ごろから、漁協職員らが養殖施設で水揚げ作業を行った。平均2㌔を目安に計100匹を水槽内からたも網ですくい、氷詰めのタンクに移すと、活きのいいサーモンが水しぶきをあげて勢いよく跳ねた。
 市魚市場では、〝初物〟のお目見えに買い受け人らがじっくりと品定め。入札の結果、調理しやすく脂のりも良い2㌔超のサイズは、1㌔1050円~950円で取引され、全体の平均価格は908円と、昨年度の初出荷を上回った。買い受け人からは「身が丸くふっくらしていて良い」などの声が聞かれた。
 本年度は施設での養殖数を半分に減らすことで、1匹当たりの魚体を大きく育てた。淡水育成のサーモンは、海面育成と比べて脂のりがほど良いという声もある。今季初出荷は、海面育成のものが出回る時期を避けて差別化を図ったため、昨年よりも約3週間遅かった。今後は8月中旬まで毎週月・木曜日に水揚げし、当日は100~150匹程度の出荷を計画している。
 新たな養殖漁業資源として注目を集め、生食は刺し身やすしネタとして需要が高いサーモン。県内沿岸でも海面育成での養殖が進められている。
 サケ養殖とアユの中間育成を手がけていた盛川漁協は、県内でもいち早くトラウトサーモンの養殖に乗りだし、平成29年度から試験事業に取り組んできた。令和4年度からは、猪川町の民有地に整備した直径15㍍の水槽3基と同10㍍の1基を使い、そばを流れる大野川の水で育成している。
 昨年度は「盛川フレッシュサーモン」の名称でブランド展開を図り、7000匹を出荷。市産業まつりやおおふなと産直海鮮まつりへの出店、「サーモン教室@盛川」と銘打った体験教室を開催するなどして普及を図り、味や脂のりは好評だった一方で、「盛川=淡水」のイメージが強かったためか、存在自体を知らない人も多くいたという。

商品パッケージなどに貼られるブランドロゴ

 本年度は、試験養殖の結果や関係者らの声を踏まえ、水産のまち大船渡のネームバリューを生かした「大船渡サーモン」と改称し、ブランド化を目指す。市の新規養殖試験補助金を活用してブランドロゴのステッカーやポスター、のぼり旗などの販促グッズも製作し、認知度向上に向けたPRに力を入れる。
 育成事業を担当する盛川漁協技術主任の千葉香織さんは「無事に出荷できてほっとしている。数を減らしてストレスなくのびのび育てたことで、身も厚く仕上がり、『昨年よりもいいね』との声もいただいた。今後は新しい名前となった大船渡サーモンの認知度を上げていきたい」と話していた。