課題解決へ22項目要望 高田松原のクズ対策も盛り込む 市が県に対し7月提出

 陸前高田市は、県に対する本年度要望事項をまとめ、27日に開かれた市議会全員協議会で示した。昨年度比3項目増の22項目を要望する。新たに加えたのは3項目で、内容は東日本大震災からの再生を目指す高田松原のマツに絡むつる性植物「クズ」への対策など。7月11日(木)に提出する。
 重点項目は①持続可能な地域公共交通の構築②高田松原の再生に係る保育作業の継続実施とクズ対策③保育行政に対する財政支援④水門・陸こうの維持保守費用の財政支援⑤新笹ノ田トンネル整備促進⑥被災児童・生徒の学習支援、心のケア⑦東日本大震災被災文化財修復に係る財政支援──。
 ①は、陸前高田市と住田町を結ぶ「陸前高田住田線」の路線維持のための支援を求めるもの。昨年度まで県交通㈱が運行していたが、本年度から地元事業者が引き継いで走らせている状況を踏まえ、「県補助は運行経費の4分の1以下。通学や通院に欠かせない路線維持のため支援の強化をお願いしたい」と記載している。
 ②は、高田松原で昨夏以降クズが繁茂し、一部でマツの枯損が確認されていることから、新規で重点項目に加えた。「高田松原の再生は、震災津波からの復興のシンボルともいえる」とし、マツの保育作業を含む県による治山事業の継続とともに、クズへの効果的な対策と早期実施を求めている。
 ③では、多様な保育ニーズに対応するための保育士確保が喫緊の課題であることを踏まえ、▽第2子以降の3歳未満児の保育所等利用料の無償化に対する県独自補助の継続▽若年層の保育士確保のために自治体が独自に対策を実施する費用に対する財政支援——を挙げた。
 ④は、陸こう自動閉鎖システムの維持保守管理費が、県への負担金を含め年間約1800万円を要することから、国・県の財政支援を求めている。
 ⑤は、昨年度に県による「国道343号笹ノ田地区技術課題等検討協議会」が設置されたことを受け、「トンネル整備実現に向け大きな前進であり、市民の期待が非常に高まった。一日も早い事業着手に向けて調査の精度を上げた検討を早急に完了してほしい」と訴えている。
 ⑥では▽復興加配教員、指導主事、栄養教諭等の教職員加配措置の継続▽スクールカウンセラーの継続配置——を掲げている。
 ⑦は、震災後に救出した被災資料約46万点のうち、令和5年度末時点で約10万点が未処理で、その中で約7万点の処理技術が確立されていないことから、「処理技術の開発と並行しながら、文化財の修復を完結させるため、国に対して新規補助制度による財政支援を要望してほしい」と記載した。
 要望の提出は、県の次年度予算編成作業を前に、市が抱える諸課題の解決に向けた予算の重点配分や事業実施を求めて毎年行っている。
 市によると、要望項目は令和2年度22件、3年度18件、4年度17件、5年度19件。本年度は大船渡市猪川町の大船渡地区合同庁舎を会場に提出する。
 本年度の要望項目は別掲の通り。