特定空き家8月以降解体へ 市議会 最終本会議で関連費可決

▲ 補正予算案などを可決した最終本会議

 陸前高田市議会6月定例会は27日、最終本会議が開かれ、予算等特別委(中野貴徳委員長)に審査を付託した議案5件と、同日追加提案された発議3件を原案通り可決し、閉会した。本年度一般会計補正予算には市内1例目となる「特定空き家」の解体工事費が盛り込まれている。火事で全焼した高田町の民家1軒について8月以降、空家等対策特別措置法に基づく略式代執行により除却(解体)する。(高橋 信)


 この日可決されたのは、条例案4件と補正予算案1件、発議3件の計8件。一般会計補正予算は、歳入歳出に7億2512万円を追加し、総額をそれぞれ176億7512万円とした。
 主な歳出は▽物価高騰対策緊急支援給付金2億2183万円▽金成地区中央排水路改修工事費4600万円▽高田松原海水浴場通路舗装工事800万円▽地域力創造専門家派遣業務委託料560万円──など。
 特定空き家として除却の手続きを進めるのは、高田町鳴石にある木造2階建ての住家。昨年12月の火事で全焼し、この家に住んでいた当時50代と60代の兄弟2人が亡くなった。
 民家は住宅街にあり、通学路にも面している。そのまま放置すれば保安上の危険や衛生上の有害となる可能性があるとして、今年に入り、近隣住民から市に対し、安全対策を求める要望があったという。
 市は現地調査などを経て、法定相続人が存在しないことを確認し、市空家等対策協議会から意見を聞いたうえ、特定空き家と判断。周囲への影響を勘案し、早期に対応する必要があることなどから、略式代執行による除却に踏み切る。空家等対策特別措置法に基づく除却は市内初めてで、解体工事費は752万円を見込んでいる。
 「地域力創造専門家派遣業務委託料」は、市内随一の集客力を誇る道の駅高田松原の販売力強化に向け、販売やマーケティングのノウハウを持つ外部専門家を招へいする経費として計上。道の駅の魅力と売り上げを向上させることで、市内全体の観光振興、地域経済活性化につなげようと、7月以降、専門家を交えた検討に乗り出す。
 「物価高騰対策緊急支援給付金」は、国の所得税を1人当たり年3万円、自治体の住民税を同1万円差し引く定額減税に関連する調整給付や、低所得世帯向けの給付金など。調整給付の対象は概算で4000人程度を想定している。
 発議は▽市議会会議規則の一部改正▽市議会委員会条例の一部改正▽市議会の個人情報保護に関する条例の一部改正——。
 会議規則は、全国市議会議長会標準市議会会議規則の改正に伴い、一部を改める。委員会条例は、オンラインによる会議を導入するため改正する。