友好の架け〝箸〟贈る 米クレセントシティ市民に50膳 高田町の武藏さん 匠の技に市から感謝状

▲ 感謝状を手にする武藏さん㊧と佐々木市長

武藏さんが作った箸

 陸前高田市高田町の武藏榮治さん(88)が、市と姉妹都市協定を結ぶ米カリフォルニア州のクレセントシティ市民に対し、高田松原のマツの木で作った箸50膳を贈った功績がたたえられ、陸前高田市から感謝状を受けた。元気仙大工である武藏さんの熟練した技で丁寧に作られた贈り物に、友好都市の市民らは大感激したといい、渡米して箸を渡してきた佐々木拓市長が謝意を伝えた。(高橋 信)

 

 感謝状授与は27日に市役所で行われた。感謝状を手渡した佐々木市長は「クレセントシティの人たちが『直接お礼状を渡したい』と言うほど感激していた。友好関係を永続的に続けようと思っている中、市民から思いのこもったプレゼントがあり、市としても大変ありがたかった」と語った。
 箸は東日本大震災前の台風で倒れた高田松原のクロマツを使って製作。かんなと紙やすりを駆使して1本1本丁寧に作り、軽やかな仕上がりになっている。東海新報の報道で佐々木市長が4月にクレセントシティ市を初訪問することを知り、「先方の人たちに渡してほしい」と50膳を託した。
 中学校卒業後、大工の世界に飛び込んだ武藏さん。県外への出稼ぎはせず、地元の民家や神社仏閣の建造などを手掛け、60代まで現場で働いた。
 米寿を迎えた今も腕は健在。「大工に定年はない。何か作って地域に貢献できないか考えている」と相棒のかんなで木製品作りなどに励んでいる。
 陸前高田、クレセントシティ両市の交流は、震災で流された県立高田高の実習船「かもめ」が発災から約2年後の平成25年4月、海を渡ってクレセントシティに漂着したのを機に始まった。今月19日から28日までは、高田高の姉妹校であるデルノーテ高(カリフォルニア州)の生徒たちが陸前高田市に滞在し、市民らと交流を深めた。
 武藏さんは「感謝状までいただくことになるとは想像もしておらず、大変恐縮している。喜んでもらったと聞き、何よりでした。クレセントシティは大切な友好市。これからも友情が続いてほしい」と願った。