伸びてます コンビニ交付サービス 住民票や証明書発行に対応  5年度は14・9%に上昇

 マイナンバーカード交付率の上昇に伴い、大船渡市では各種証明書の「コンビニ交付サービス」利用が増えている。令和5年度実績は前年比1・6倍の約4800部で、市役所窓口対応をはじめ交付全体部数に占める割合が14・9%にまで伸びた。今年4月からは、所得証明書や所得課税証明書を交付する際の手数料をコンビニ交付では減額するなど、さらなる利用増が予想される。市は来訪が減少した分、窓口でのきめ細かい対応確保にもつなげ、充実を図っていく。(佐藤 壮)

 

コンビニエンスストアで各種証明書発行に対応

 このサービスは、マイナンバーカードを利用し、コンビニエンスストアなどに設置されているキオスク端末(マルチコピー機)に利用者証明用電子証明書の4けたの暗証番号を入力することで、自治体が交付している各種証明書が取得できる。同市では令和2年3月から実施している。
 全国約5万6000店舗のコンビニエンスストアで利用でき、対応可能時間は午前6時30分~午後11時で、土曜、日曜、祝日も操作できる。市内では「セブン―イレブン」「ローソン」「ファミリーマート」の各店舗で利用できる。
 交付部数の推移をみると、2年度は759件で、3年度は1679件、4年度は2958件、5年度は4810件と増加を続ける。市役所窓口など証明書交付全体部数におけるサービス利用割合は2年度が1・8%、3年度が4・4%、4年度が8・7%で、5年度は14・9%となった。
 市では、マイナンバーカードの交付率向上が、交付部数の着実な増加につながっていると分析。4年度時点では66・6%だったが、5年度には78・8%に達した。カード交付時にチラシを配布し、口頭でも説明している。
 取得可能な証明書のうち▽住民票の写し▽住民票記載事項証明書▽印鑑登録証明書▽所得証明書▽所得課税証明書──は、市内に住民登録があれば利用できる。戸籍の「全部事項証明書(謄本)」と「個人事項証明書(抄本)」、戸籍附表の写しはそれぞれ、本籍がある人が申請できるが、住民登録がない人は事前に利用登録申請が必要となる。
 4年度の利用で最も交付が多かったのは、住民票で1815部。次いで印鑑登録証明書が1557部、戸籍の全部事項証明書が598部、戸籍の所得証明書が203部などが続く。
 年齢別利用状況をみると、21~60歳で76%を占める。住所に関する証明書の種類が多いことから、県内のコンビニでの利用が約9割。一方、戸籍証明書の取得における都道府県別利用をみると県内は5割程度で、東京都が15・8%で、宮城県が9・8%。大船渡市に本籍があり、住所が県外にある人が多く利用している傾向も出ている。
 市では、一度利用して便利さを実感し、その後の利用につながっていると分析。60~80代の利用も一定数あり、市役所までの移動手段に困る高齢者支援の観点からも手応えを示す。
 市は4月から、コンビニで所得証明書や所得課税証明書を交付する際の手数料を、1通300円から200円に減額した。市役所窓口で両証明書を交付する手数料は1通300円のままで変更はなく、利用率の動向が注目される。
 コンビニ交付によって、市役所窓口での証明所交付総数が減少。待ち時間負担の緩和や、職員がきめ細かい対応ができるといった利点もある。
 今年に入り、1階の市民環境課窓口などでは「迷う・待つ・書く・回る」の負担軽減に向けた改修を実施。総合案内窓口にある画面で来庁目的を選択し、番号券を受け取る方式となったほか、住民票などの証明書発行は申請書に記入しなくても、身分証明書があれば職員側が手続きに入る。
 同課の鈴木康代課長は「コンビニ交付割合の上昇を生かし、今後も窓口でのさまざまな問い合わせなどに丁寧に対応したい」としている。