マップ作成やツアー実施へ 三陸ジオパークけせん協議会が住田で総会 本年度の計画決める

▲ 本年度事業計画などを決めた総会

 気仙3市町などでつくる三陸ジオパークけせん地域協議会(会長・神田謙一住田町長、会員22人)は2日、同町役場町民ホールで総会を開いた。本年度は気仙のジオマップ作成やジオツアーなどの事業を展開していく。
 委任状や代理を含めた会員、事務局合わせて約30人が出席。神田町長のあいさつに続き、三陸ジオパーク推進基本計画および三陸ジオパーク推進行動計画に基づき、ジオパークの魅力を分かりやすく解説・発信しようと同協議会が令和元年度から取り組んでいる「ジオストーリー」の作成・更新について事務局が報告した。
 それによると、5年度は各市町一つずつストーリーを作成。同年度時点でのストーリーは陸前高田市8件、大船渡市7件、住田町4件の計19件となっている。
 5年度作成のストーリーのうち、同町の「栗木鉄山跡」は、たたら製鉄が営まれた江戸時代から蓄積されてきた技術や自然資源を生かし、明治13年〜大正9年に操業された民営の製鉄所。操業中、大正2年には国内4位(民間3位)の銑鉄生産量を誇った。最盛期には500人超の従業員がいたとされ、郵便局、学校、職員住宅なども整備されて「製鉄村」が形成されていた。
 第1次世界大戦中の好景気で絶頂期を迎えるが、大戦終結後の急激な需要減少によって大正9年に廃業となった。山間の地形を生かした高炉様式は全国的に見ても珍しく、日本の近代製鉄技術史上においても非常に貴重な遺跡とされている。平成9年に町史跡、11年に県史跡、令和3年には国史跡に指定された。
 報告に続いて議事に移り、5年度の事業報告、収支決算、6年度の事業計画、収支予算の2議案を審議し、いずれも承認、可決。
 事業計画によると、本年度は▽気仙地域におけるジオパークの推進▽関係団体との情報共有および事業連携▽地域資源の調査研究および活用──を展開。具体的には、気仙地域のジオマップ作成と配布、ジオツアー催行、SNS等での情報発信、人材(ガイド)育成、気仙のジオサイトの見直しなどを行う。