住田で学び深める あすまでラーニングワーケーション 愛知県や東京都の会社員ら(別写真あり)
令和6年7月5日付 7面

住田町内で3日から6日(土)まで、学習(ラーニング)と休暇(バケーション)の要素を兼ね備えた働き方(ワーク)で企業と地域がつながり、その地域ならではの体験を深める「ラーニングワーケーション」ツアーが行われている。県外からの参加者が町内各地を巡り、地元民らとの触れ合いなどを通して新たな価値観に触れながら、学びを深めている。(清水辰彦)
ツアーは、関係人口創出のコーディネートなどを担う「おとりもち」を個人事業主として営む、植田敦代さん=世田米=が受け入れた。
全国的に人口減少が進行する中、各地で関係人口の創出が注目を浴びている。「おとりもち」では令和3年、人材育成支援、出版事業などを展開する㈱日本能率協会マネジメントセンターのアドバイスを受けながらラーニングワーケーション希望者に提供する同町でのプログラムを考案し、同12月にモニターツアーを実施。モニターツアー参加者からの意見を反映させたうえで、4年から本格的なツアーを展開している。ラーニングワーケーションは、モニターツアーを含め今回で4回目となる。
今回は、「組織を超えた学びとネットワーク形成」「普段の業務では学ぶことができないリアルな地域社会の課題やバックグラウンドの異なる人々との対話」「困難な課題に挑戦するマインド醸成」──を達成しようとの狙いで、〝越境〟による学びのプログラムが組まれている。
ツアーには、東京都や愛知県から20代~40代の会社員ら8人が参加。初日は、世田米の応急仮設住宅本町団地の跡地に整備された「仕事と学び複合施設」(イコウェルすみた)を訪問。町企画財政課の紺野尚之主事、イコウェルを管理する町地域プロジェクトマネージャーの関博充さんから、東日本大震災と住田町についての講義を聞いた。
この中で紺野主事は、町がいち早く独自に木造の応急仮設住宅を建設して被災者を受け入れたことや、町内外の人材交流による移住・定住を促進しようと仮設跡地にイコウェルを整備したことなどを解説。
参加者からは、町が独自に仮設住宅を建設した経緯、Uターンを促すための町としての政策などについての質問も挙がった。
施設見学後は、町民とのトークセッションが行われた。震災発生後に仮設住宅住民向けの生活支援相談員を務めた経験のある町社会福祉協議会の畠山朋也さん(36)=世田米、NPO法人いわて連携復興センターの酒井菜穂子さん(45)=同=の2人が、震災後の活動や住田への思いを紹介し、参加者とも語り合った。
4日は、苗木生産業者を訪問して意見交換。5日は県立住田高校で出前授業を行い、生徒と交流する。最終日の6日は、イコウェルで全体の振り返りを行い、帰路につく予定。
愛知県岡崎市から参加した会社員・奥田彩斗さん(24)は「自ら考える、自ら話すということを実践していきたい。住田でいろいろなことを学んで帰りたい」と話していた。